イラストレーター、画家として国内外で活躍する黒田征太郎は、1939年、大阪に生まれました。太平洋戦争後、船員となった黒田は、航行する間に絵に興味を持ち、1969年に長友啓典とデザイン事務所「K2」を設立し、イラストレーターとして時代の先端を走りました。1992年、ニューヨークにアトリエを構え、2009年に拠点を北九州市門司区に移すまで、世界中でさまざまな活動をしてきました。なかでも、渡米先で出会った野坂昭如の『戦争童話集』によって、戦争のテーマと向き合うようになり、絵本をはじめ絵画の大作や壁画制作、ライブペインティングを通して、いのちの大切さを伝える表現活動を行っています。

戦争童話集「年老いた雌狼と女の子の話」 1995年 (C)Seitaro Kuroda
《PIKADON》 2006年 (C)Seitaro Kuroda

北九州市立美術館で開催の「黒田征太郎展 絵でできること」は、86歳にして初となる大規模個展です。(9月20日~11月9日)

本展の見どころを、北九州市立美術館の学芸員、河村朱音さんにうかがいました。

「本展は、これまでに20万点を超える制作を行ってきた黒田征太郎さんの長年にわたる表現活動の軌跡をご覧いただく初めての大規模個展です。

10代の漫画少年だった頃の絵をはじめ、イラストレーター時代の美しく繊細なポスター、そして画家を志して渡米した先で制作された巨大な作品、また、1000回以上のライブペインティングで描かれた大作の数々。さらには、現在拠点とする北九州市のアトリエで描かれた最新作まで、エネルギーに満ちたその画業を紹介します。

《ワタリガラス》 1990年 (C)Seitaro Kuroda

型にとらわれない自由な姿勢は、ホテルメモや紙袋、木端など身近にあるものを画材に取り入れ、平面作品をアクリルキューブに閉じ込めて立体化させるなど、独創性と魅力に溢れています。

《航海》 2024年 (C)Seitaro Kuroda

あわせて、黒田さんによるギャラリートークや子どもたちと絵を描くワークショップのほか、親交の深い沢木耕太郎さんとの対話イベント、毎週土日の映画上映など関連イベントも多数開催します」

鋭くて優しい、黒田作品の豊かな世界を、会場でじっくりご鑑賞ください。

【開催要項】
黒田征太郎展 絵でできること
会期:2025年9月20日(土)~11月9日(日)
会場:北九州市立美術館 本館
住所:福岡県北九州市戸畑区西鞘ケ谷町21-1
電話:093・882・7777
公式サイト:https://www.kmma.jp
開館時間:9時30分~17時30分(入館は17時まで)
休館日:月曜日(ただし10月13日、11月3日は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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