近年、「日本美術ブーム」ともいうべき状況が続いています。かつては西洋美術に比べて人気がなかった日本美術。しかし、今世紀に入る頃、状況は徐々に変わってきました。
そんな日本美術ブームを牽引してきたのは、間違いなく伊藤若冲です。
2000年の東京国立博物館の「没後200年 特別展 若冲」をきっかけとして空前の若冲ブームがおきました。しかし、そんな若冲も2000年以前は一般の人にとっては日本美術の「知られざる鉱脈」でした。
コロナ禍が終息した今後、日本美術に対する注目度はますます高まっています。
大阪中之島美術館で開催の「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」は、これまで一般にあまり知られていない日本美術を広く紹介し、未来の国宝探しを提案する展覧会です。(6月21日~8月31日)

本展の見どころを、広報事務局にうかがいました。
「本展は、縄文から現代まで、出品作の時代、ジャンルは多岐に及びます。
たとえば縄文土器。ようやく1990年代からいくつか国宝指定されましたが、ほかにも指定されるべき作品はたくさんあります。縄文特有のうねるようなモチーフをリズミカルかつエレガントに調和させた表現の縄文土器を紹介します。

鋳物師屋遺跡出土 縄文時代中期中葉(紀元前3500~紀元前3000年頃)
山梨・南アルプス市教育委員会(南アルプス市ふるさと文化伝承館)
室町時代、そして江戸時代の絵画にも一般には知られていないものの、きわめて個性的で魅力的な作品があります。
室町水墨画の伝記のほとんどわからない霊彩、謎の絵師・式部輝忠、戦国大名の出ながら画僧に転身した雪村周継らの作品を紹介します。

画帖8面のうち1面
紙本墨画淡彩
室町時代(16世紀)福島県立博物館蔵
江戸絵画では、伊藤若冲と円山応挙がそれぞれ一隻ずつ手がけた新発見の二曲一双屏風が注目されます。

幕末・明治では、近年再評価が進む超絶技巧の工芸や西洋画の影響が未消化なうちに描かれた不思議な魅力の絵画。大正から昭和では、不染鉄や牧島如鳩ら近代絵画において類をみないユニークな表現が注目を集めています」

あなたの眼が選ぶ未来の国宝は? ぜひ会場でご検証ください。
【開催要項】
日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!
会期:2025年6月21日(土)~8月31日(日)
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
電話:06・4301・7285(なにわコール)
公式サイト:https://koumyakuten2025.jp/
開館時間:10時~17時、7月18日~8月30日の金・土・祝日前日は~19時
(いずれも入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし7月21日、8月11日は開館)、7月22日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝
