30~40代前半のプレ更年期や、40代半ば~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの人が困っている悩みは脚のつりの症状です。
実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?
私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
今回は「脚のつり」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。
Q.深夜に激痛! 脚がつる原因がわからず困っています……
ひろこさん、52歳からご質問をいただきました。
「最近、脚のつりが気になるんです。とくに、夜間にいきなり脚がつってしまい、痛くて飛び起きることがあります。
主人に聞いても『湿布でも貼っておけば?』と適当に返されるだけで、相談に乗ってくれません。
年齢や、運動不足も関係あるのかな? とは思っているのですが、具体的にどうすれば脚のつりを抑えられるのかがわからず、困っています」
ご質問ありがとうございます。脚のつりの症状は突発的に起こることが多く、つらいですよね。とくに、ひろこさんの場合、周囲に相談もできず困っているとのこと。
しかし、きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、脚のつりの症状の緩和をめざせます。まずは、脚のつりの原因をしっかり把握して対処しましょう。
脚のつりの原因
まずは、脚のつりの主な原因3つについて見ていきましょう。
1.睡眠不足
慢性的な睡眠不足や、疲労がたまっている状態だと、筋肉のけいれんを起こしやすくなります。睡眠不足が脚のつりを引き起こし、その脚のつりのせいで睡眠不足になる……という悪循環も起こってしまうのです。
2.筋肉量の減少
運動不足や加齢などの影響で筋肉量が減少すると、筋肉内の血行が低下します。その結果、疲労物質がたまり、末梢神経のトラブルが起こりやすくなります。
3.ホルモンバランスの崩れ
閉経の前後約10年間の更年期は、女性ホルモンのバランスが大きく崩れる時期です。とくに、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが急激に減少すると、血行が悪くなったり、むくみが起こったりと、脚のつりの原因につながります。
背景に病気が隠れているケースも
脚のつりは、一過性の症状である場合がほとんどですが、病気が原因の場合があります。
脚のつりは筋肉がけいれんする「筋けいれん」の一種です。筋けいれんは甲状腺機能低下症などの「内分泌疾患」、脊柱管狭窄症などの「神経筋疾患」、糖尿病などの「代謝異常」といった病気によって起こることがあります。
症状が頻繁に起こる場合や、脚のつり以外にも異常を感じる場合は、なるべく早いうちに医療機関を受診しましょう。まずは内科や整形外科で診てもらうのがおすすめです。
脚のつりを改善するセルフケア
ここからは、脚のつりのセルフケアをご紹介します。
1.脚を動かす軽い運動
適度な運動の継続は脚の筋肉量を保つだけでなく、血流を促してくれるため、脚のつりのリスクを減らすことができます。野外ではウォーキングやジョギング、屋内ではスクワットがおすすめです。
疲労がたまるとかえって逆効果になってしまうので、無理のない程度に行いましょう。
2.適度に水分を補給する
脱水状態は脚のつりを引き起こす原因になります。睡眠中は、発汗で意外に水分が失われがちです。夜間頻尿が気になる場合は、就寝直前ではなく、夕食や入浴前後にこまめに水分補給し、脱水症状に陥らないようにしましょう。
3.着圧ソックスを着用する
着圧ソックスでほどよく圧をかけることで、衰えた脚の筋肉のポンプ機能を正常化させ、血流をスムーズにすることで、脚のつりを軽減できる可能性があります。
4.漢方薬を試す
「更年期の脚のつりを根本から改善したい」
「いろいろと試したが症状が改善しない」
「西洋薬は一度飲み始めたら、やめられないのではないかと不安」
そんな方には、医薬品として効果が認められている漢方薬がおすすめです。
漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また、漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
「バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
更年期の脚のつりの改善をめざす場合、「血流や水分の循環を高める」「筋肉に酸素や栄養を供給し、疲労を軽減する」「温めることで筋肉をゆるめる」「胃腸の働きをよくしてミネラルバランスを整える」といった漢方薬を使用しましょう。
脚のつりのケアにおすすめの漢方薬
・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):筋肉に栄養を補うことで、筋肉の緊張と痛みを和らげ、急激な筋肉のけいれんを緩和します。
・疎経活血湯(そけいかっけつとう):筋肉の血流を整え、栄養を補うことで、筋肉の痺れや痛みに働きかけます。
ただし、漢方薬を選ぶ際にはご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることがあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。
「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
生活習慣を整え、脚のつりを未然に防ぎましょう
更年期の脚のつりは、睡眠不足、筋肉量の減少、女性ホルモンバランスの変化など、様々な原因があります。きちんと生活習慣を整え、疲労をたまりにくくするのも大事なポイント。脚のつりケアを実行していきましょう。
<この記事の監修者>
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イラスト:にゃたり