世界4大文明(メソポタミア・インダス・エジプト・黄河)の発展と共に文字が生まれましたが、現在でも使用されているのは黄河文明で生まれた漢字のみです。
日常的に使用していますが、読めそうで読めなかったり、もはや読み方の想像すらできないものまで存在します。近年ではパソコンやスマホの変換機能に頼って、ますます漢字が「読めない」「書けない」人が増えています。
『サライ.jp』でも人気のコンテンツ「脳トレ漢字」のおさらい企画として、毎月5本をセレクトして、ご紹介します。隙間時間にチェックして、記憶力を鍛えながら漢字の奥深さを楽しんでください。
■1:辣油(ラー油)にも使われる「辣」の意味とは?
「らつわん」と読み、「躊躇することなく、てきぱきと物事を処理する能力のこと」ですが、少々強引さを伴う、という意味合いも含んでいます。
「辣」は辣油(ラー油)にも使われる漢字ですが、「厳しいこと」という意味を持つことから、「厳しい、辛い」というイメージが浮かんできますね。
辣腕とよく似た言葉に「敏腕」がありますが、「物事を正確に素早く処理する能力があること」を意味します。辣腕はやり方が多少雑でも処理能力があることを表すのに対し、敏腕は頭の働きや行動の手際が良いという意味合いがあるため、より優秀さが表れているといえます。
■2:裾がツバメの尾のように長く割れている男子の正式礼服
裾の形が燕の尾のような服なので、「えんびふく」と読みます。乗馬をする際、馬の鞍に触れてしまわないように切れ込みが入れられたのが始まりで、現在はフォーマルの最上級の礼装として着用されています。
なお、似ている礼服に「モーニング」と「タキシード」があります。モーニングは日中に着用する男性の正礼装で、花嫁の父として着用したことがある人も多いのではないでしょうか。タキシードは燕尾服の裾を短くしたものなので、燕尾服同様、夜間に着用します。ただし、ノーベル賞授賞式や公式の晩餐会など、夜の格式ある式典には燕尾服を着用するのがマナーです。
※「燕尾服」は何と読む?「つばめ」の「尾」と書いて「○○○ふく」です
■3:シャキシャキとした歯ざわりの野菜
正解は、炒め物やスープなど中華料理には欠かせない野菜、「ちんげんさい」です。
「青」は「緑色」を、「梗」は「堅い茎」を、「菜」は「野菜」を意味するので、チンゲン菜の見た目の特徴を表した漢字といえます。中国では「青梗菜」を「チンコンツァイ」と発音しますが、日本では訛った発音が定着し、「チンゲン菜」として浸透しました。
■4:別の言い方は、「まるで」です
日常では、言葉自体をあまり使わないかもしれませんが、「さながら」と読みます。
「まるで、そっくり」、「そのまま、もとのまま」、「すべて、全部」という3つの意味があり、いずれの場合も、ある事物を他の事物になぞらえていうときに、両者がそっくりなほどよく似ている様子を表す言葉です。
「まるで」の言い換えとして使用すると、知的な印象になるかもしれません。
■5:「秋の七草」のひとつに数えられる、可憐な草花
草花に詳しい人なら簡単かもしれませんが、「おみなえし」と読みます。
「おみな」とは、古語で「美人」のことを意味し、「女郎」は「若い女性、高貴な女性」を表す言葉です。つまり、花の様子が美女をも圧倒する美しさだったことから、この名前がつけられたと考えられています。
女郎花の対となる存在として「男郎花(おとこえし)」という花があります。この2つの花の姿形はとても似ていますが、見分け方は黄色い花を咲かせるのが「女郎花」で、白い花を咲かせて女郎花よりも背丈が大きいのが「男郎花」です。
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すべて読むことはできましたか? 読めても、意味までは知らないことも多いと思います。じっくりと漢字と向き合うことで、その奥深さに感心し、知的好奇心も刺激されるはず。ぜひ、毎月の習慣として「脳トレ漢字おさらい編」を取り入れてください。
文/編集部