ライターI(以下I):『光る君へ』第39回では、藤式部(まひろ/演・吉高由里子)の弟藤原惟規(演・高杉真宙)の死が描かれました。これは、ショックを受けて「惟規ロス」の方が続出するのではないでしょうか。
編集者A(以下A):惟規は、正五位下に昇進して、五位の貴族が着用を許される赤い束帯姿が様になっていました。しかも、父為時(演・岸谷五朗)とともに赤い束帯で左大臣道長(演・柄本佑)に挨拶に赴くという見せ場も用意してもらいました。
I:あの場面は「幸せの絶頂」だったのかもしれません。なんかいい場面だなあと思って見ていました。道長に伺候した際に、姉のことをよろしくと伝えた場面、道長から姉のもとを訪ねるようにいわれた場面、そして藤壺で為時・藤式部・惟規の親子3人が集った場面……。感無量でした。
A:藤原為時が越後守に任ぜられ、春が訪れたような雰囲気に包まれた為時家ですが、一転、悲劇に見舞われます。越後に赴いて亡くなるとは本当に無念だったと思います。
I:史実としてわかっていたこととはいえ……為時の嗚咽にこちらもつられて涙が出てきてしまいました。もう惟規には会えないんですね……と思っていたら、惟規を演じた高杉真宙さんも同じことをおっしゃっていました。『光る君へ』の公式サイトで毎週アップされているキャストによる「君かたり」での高杉真宙さんのコメントです。
いや~、もう会えないのかと思うと、やっぱり僕も寂しいですね。皆さんが惟規に会えない気持ちと一緒で、僕も惟規に会えないので。台本で、物語上、惟規っていうひとりの人の人生が終わっちゃったっていうか。だから、そういった意味では、僕自身も惟規と会えない寂しさっていうのはありますし、皆さんとももう撮影でお会いできないんだなっていう寂しさもあるっていう感じですかね。
A:これまでは歌人としてですとか、紫式部の兄弟という認識しかなかった惟規ですが、『光る君へ』での陽気なキャラクターでぐんと親近感が湧いたという視聴者も多いのではないでしょうか。高杉さんの飄々とした演技がよく合っていたように思います。高杉さんなりの惟規の解釈についても語ってくれています。
家族もそうですし、家族以外でも人に愛されてきたキャラクターだったなと思いますね。それはなんか、物語の中など、いろんなところで感じる部分が多かったです。忍び込んだ斎院の中将の君の場所でも(罰を)免れたりとか、道長さんとお会いした時も、優しく接してもらったり、そういう、人に愛されて生きているキャラクターだったなっていう。家族はもちろんですけどね。いとにもそうですし、いろんな人からの愛をたくさん受けてきたキャラクターでした。
【陽気なキャラ藤原惟規の死。次ページに続きます】