視力1.5なら目がいい人、0.1なら悪い人と一般的には考えますよね。
しかし、実はそうとはいいきれません。視力検査は一定の距離から静止したものがはっきり視えるかどうかを検査するものであり、目のはたらきの「静止視力」だけが対象になります。
もちろん、静止視力は「見る」ために必要ですが、どんなに視力がよくてもその視力を活かせるかどうかは静止視力以外の目のはたらきにかかっています。
たとえば本を読むとき、目で文字を追いながら、文字にピントを合わせ、文字を判断します。これらはすべて異なる目のはたらきです。
どれかひとつでも悪くなると、文字や行を飛ばしたり、読んでいたところを見失ったり、同じ行を二度読んだり、最悪の場合、何度読んでも内容を理解できないこともあります。
これでは視力が1.5でも「目がいい」とはいえませんよね。実際、視力がよくても目のはたらきが悪いことで自分の持っている力を発揮できない人はたくさんいます。
それでは、さっそく目のはたらきをチェックしていきましょう。
■23の質問でわかる「目のはたらき」チェックリスト
(1)視力は悪くないのに目がよく疲れる
(2)イライラするとなかなかおさまらない
(3)本や新聞を読んでいるときに、文字を飛ばすことがある
(4)書類を読むのに時間がかかる
(5)本を読んでも内容を理解できない
(6)遠くを見ていて、手元に目を移すとぼやける
(7)文字を書くとき、いつも右肩上がりなど斜めになる
(8)文字の書き間違いが多い
(9)急な階段は手すりをつかまらないと不安である
(10)人ごみを怖く感じる
(11)スポーツ、とくに球技が苦手
(12)跳び箱がうまく飛べない
(13)車線変更や追い越し運転が苦手
(14)歩いているときによくものにぶつかる
(15)予測することが苦手
(16)整理整頓ができない
(17)高所恐怖症
(18)人の動きをマネるのが苦手
(19)手先が不器用
(20)老眼である
(21)集中力が続かない
(22)落ち着きがないと言われる
(23)道によく迷う
……いくつの項目にチェックが入りましたか?
チェックを入れた項目が多いほど、目のはたらきが低下している可能性があります。
■目のはたらきはトレーニングで何歳でも回復できる!
ものを見るとき、本を読んでいるとき、テレビを観ているときも、眼球は確実に動いています。
この動きをつくるのが眼球の外側にある6つの外眼筋という筋肉です。4つの直筋と2つの斜筋で構成され、脳の指示に従って眼球を動かしています。
複数の筋肉が複雑な動きをなすのが外眼筋です。外眼筋も足や手の筋肉と同じように、使わなければ、硬くなるし、老化とともに衰えます。逆に使えば使うほど鍛えられて強くなります。
悪くなった目のはたらきを回復するために拙著『1日5分でアタマとココロがすっきりする眼球体操』の中で、この筋肉のトレーニング法をご紹介しています。
ひと昔前までは目のはたらきは遺伝に左右されると考えられてきましたが、今は人が育つ環境に影響されることがわかってきたためです。
つまり目のはたらきはトレーニングで回復できるということ。しかもトレーニングの効果は年齢に関係なく現れます。眼球体操では硬くなった目の筋肉をほぐし、どのような動きにも対応できる筋肉をつくっていきます。
次回以降、このトレーニング法をご紹介していきますので、ぜひご覧ください。
文/庄司真紀
監修/松島雅美
指導/松島雅美(まつしま・まさみ)
1972 年、広島県に生まれる。京都女子大学大学院修士課程修了。 臨床心理士。メンタルビジョントレーニングスペシャリスト。一般社団法人国際メンタルビジョントレーニング協会代表理事。Je respire 株式会社代表取締役社長。精神神経科クリニックや教育機関などで、のべ20,000 人以上をカウンセリングしてきた実績がある。視覚機能とメンタル機能を同時に鍛えるアイパフォーマンスメソッドを日本ではじめて構築し、スポーツ選手や子どもなどのパフォーマンス向上に向けた取り組みを行っている。
【参考図書】
『1日5分でアタマとココロがすっきりする眼球体操』
(松島雅美・著、セブン&アイ出版)