マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。
職場での服装に関して、スーツ以外の服装を認める企業も多くなってきた中で、職場の服装のルールについて、お悩みのリーダーも多いのではないでしょうか?
「職場の服装のルールをどこまで許容すべきなのか?」
「部下の服装がカジュアル過ぎると思うが、指摘しにくい」
「厳格な服装のルールを定めるとモチベーションが下がるのではないか?」
識学コンサルティングにおいても、このようなお悩みを経営者の方から相談されることも多くあります。そこで今回は、職場の服装のルールについて、どう定めるべきか、また、服装のルールとモチベーションの関係性について、実際の調査結果も踏まえて解説していきます。
7割の人が職場における服装のルールを定めている
株式会社識学が2024年2月14日に実施した調査結果によると、服装のルールが定められているか、また、その許容範囲について、以下のような結果となりました。
【調査概要】
・調査機関:株式会社識学
・調査対象:20歳~59歳の会社員/職場で制服を採用していない/フルリモートの仕事をしていない
・有効回答数:300サンプル
・調査期間:2024年2月14日(水)
・調査方法:インターネット調査
※本調査では、小数点第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。
従業員数10名以上の企業に勤める20代~50代の会社員で、職場において制服が採用されていないという方に、“職場での服装”について聞いたところ、「オフィスカジュアル」が43.0%とトップで、「スーツ」は25.3%、「自由」が29.7%という結果でした。
つまり、70.3%(全体から「自由」を引いた値)の方が“職場での服装”に関して何らかの決まりをもって出社していることが分かりました。その一方で、希望する服装については、「自由」が41.7%とトップで、「オフィスカジュアル」が39.0%、「スーツ」18.0%と続きました。やはり“職場の服装”は自由が良いという方が多いようです。
上記調査結果の通り、多くの企業で職場の服装についての何らかのルールがある一方で、自由な服装を希望する従業員も多くいらっしゃることが分かりました。
相手の服装の許容度は?
一方で、相手の服装についての許容度はどうでしょうか?
前述の株式会社識学が実施した調査によると、相手の服装について、以下の通り、カジュアルであるほど許容度が低くなる傾向となりました。
オフィスワークで働く人の服装や見た目について「あなたがどこまで許容できるのか」聞いたところ、「服装」については、「スーツではない服装」が66.0%、「オフィスカジュアルではない服装」が41.7%と上位に挙がりました。
しかし、「半袖Tシャツ(無地)」は35.3%、「半袖Tシャツ(柄有り)」は25.0%、「パーカー」21.7%、「短パン」7.0%と、カジュアルに近づくにつれ、職場の服装として許容できない人が多くなるという傾向になりました。
次に「見た目」については、過半数に達したのは「茶髪」(55.0%)のみで、「結婚指輪以外の指輪」35.7%、「派手なネイル」21.0%、「茶以外のカラーリング」19.3%、「金髪」16.0%と、“おしゃれ”が拡大するにつれ職場の服装における“許容度”は低くなるようでした。
服装のルールとモチベーションは関係ない
さらに、同調査では職場での服装でモチベーションが変わるかについても調査しており、「モチベーションに服装は関係ない」の回答が68.3%の回答となっています。
最後に、“職場の服装”に関する仕事への影響について聞きました。
まず、転職するとした場合、“職場の服装”は影響するのかどうか聞いたところ、「重視する」(「非常に重視する」8.0%、「重視する」37.7%の合計)は45.7%で、“職場の服装”でモチベーションは変わるのかについては、「モチベーションに服装は関係ない」が68.3%という結果でした。
希望する服装について、「自由」という回答が一番多かったものの、実際に働いていく上でのモチベーションにおいて、職場の服装によって変化するものではないと考えている方も多くいるということが分かりました。
そもそも、なぜ職場のルールが必要なのか?
ここまで職場の服装の調査結果を見てまいりましたが、そもそも服装のルールに限らず、なぜ、職場のルールが必要なのでしょうか?
今回の調査結果からも、自身の職場での服装について自由を希望する方が多い一方で、相手の服装についてはカジュアルであるほど、許容度が低くなる傾向があります。
つまり、「自由」だとしても、それぞれの価値観によって「良い」「悪い」の見解が異なりやすいのが、職場の服装であると言えます。
服装のルールに限らず、「良い」「悪い」の見解が異なる環境においては、それぞれのマイルールで判断する中で、ギクシャクしたり、不要なコミュニケーションが増えたりすることになり、さらには、そういった自己判断が多くなることで、マネジメントしにくい環境になっていく懸念があります。
このような見解の相違が生まれる場合には組織全体でのルールを明確に定めていく必要があります。交通ルールが全くない社会を想像した時に、安心して道を歩くことも出来ないと感じるのと同じように、一定のルール下においての自由である方が一人ひとりはより活動しやすいと言えるのです。
服装のルールはどう定めるべきか
では、服装のルールはどのように定めればよいでしょうか?
どこまでの範囲を許容するかどうかは、その企業風土や経営者判断にもよりますが、どこまでを許容するかの基準を明文化する必要があります。
基準を明文化するだけでなく、認められる例と認められない例を写真や絵で提示するなどビジュアルで分かりやすくすることも重要です。
このように服装のルールを明確化することで、冒頭にお伝えしたような、「部下の服装がカジュアル過ぎると思うが、指摘しにくい」という上司のお悩みも解消されるのではないでしょうか?
まとめ
今回は、職場の服装のルールについて、株式会社識学が2024年2月に実施した調査結果を踏まえて、解説しました。
ルールという言葉は「縛る」「制限する」といったネガティブな印象を持ちやすいかもしれません。しかし、服装における従業員の一人ひとりの価値観を制限するわけではなく、お互いの価値観がズレやすいところに一定の基準を設定して、双方で不要なストレスなく仕事に集中できる環境作りをすることもリーダーの重要な役割と言えるでしょう。
参考文献:株式会社識学「“職場の服装”に関する調査」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000029010.html
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