国宝6件が勢揃い。なのに“「雪舟展」ではない”と謳う展覧会の見どころ案内

日本美術史上、最も重要な存在にして、広くその名が知られる雪舟。日本の画家でただひとり国宝作品が6件もあることから、日本美術界において最高の評価が与えられてきた重要人物であることに異存を挟む余地はないだろう。

そんな雪舟の国宝指定作、全6件が揃い踏みし、一度に観覧可能となる貴重な機会。それが京都国立博物館で4月13日(土)から開催されている特別展「雪舟伝説」だ。

本展では、国宝全6件を筆頭に、雪舟の重要な作品が多数展示され、本特集で様々な角度から紹介した雪舟作品の魅力と見どころ、さらにはその真髄を実見することが可能となるだろう。

【重文】『四季山水図・春景』

重要文化財、4幅のうち、絹本墨画が 淡彩、149×75.8cm、室町時代(15世紀)。雪舟が中国滞在中に描いた山水画。李在の作品(本誌88ページに掲載)と比較すると興味深い。東京国立博物館蔵

また一方で本展では、単なる雪舟作品の紹介にとどまらず、主に近世において雪舟がいかにして「画聖」と仰がれる存在となり、後の画家たちにどのような形で受容され、影響を及ぼしてきたかという点にも着目。

雪舟の後継者を自任した雲谷派や長谷川派、さらには狩野派のほか、江戸時代絵画を代表する存在となった伊藤若冲や曽我蕭白など、多種多様な画家たちの作品を紹介することで、日本美術史において雪舟がいかに重要な存在であるかを詳らかにするという。

【重文】『四季花鳥図屛風』(右隻・部分)

下に掲載した若冲が描いた鶴よりも、およそ250年以上も前に雪舟が描いた鶴の姿。まるで瓜ふたつである。本作の全図はhttps://serai.jp/hobby/1181996に掲載。

伊藤若冲『竹梅双鶴図 』

一幅、絹本着色、112.2×49.7cm、江戸時代(18世紀)。画面右下に入る「平安若冲製」という款記から、若冲が画業に専心するようになったとされる比較的初期の、40歳代の作品と考えられている。出光美術館蔵(※展示期間/4月30日〜5月26日)

※本特集に掲載した出品作のうち、特に明記しないものはすべて「通期展示」です。

【開催概要】
会期/前期:4月13日(土)~5月6日(月)休日、後期:5月8日(水)~5月26日(日) ※展示替えあり 
開館時間/9時~17時30分(入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜 ※ただし4月29日(月)祝日、5月6日(月)休日は開館、5月7日(火)休館
観覧料/一般1800円 
会場/「京都国立博物館 平成知新館」京都市東山区茶屋町527 
問い合わせ/電話:075・525・2473(テレホンサービス)
展覧会公式サイト/https://sesshu2024.exhn.jp/

※この記事は『サライ』本誌2024年5月号より転載しました。

『サライ』2024年5月号の引き出し付録は「国宝 雪舟『四季山水図巻』」。

 

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