文/池上信次
2024年になりました。ジャズの歴史も長くなり、「ジャズ・レコード初録音から100年」「セロニアス・モンク生誕100年」(いずれも2017年)、「チャーリー・パーカー生誕100年」(2020年)といった、「節目」も大きな意味を持つようになってきました。ふだんは耳にしなくても、それをきっかけに、あらためてその音楽を聴いてみると新しい発見があるかも。
今回は、2024年に「生誕100年」を迎えるミュージシャンを紹介します(1924年生まれ)。
1924年生まれのジャズ・ミュージシャンが20歳の頃は、チャーリー・パーカー(1920年生まれ)が主導する、即興至上主義ともいえる最新メソッドである「ビバップ」がジャズ界を席巻していました。ですからこの世代は、パーカーのサイドマンたちや、あるいはパーカーのフォロワーといったビバップど真ん中の当事者だけでなく、ジャズ・ミュージシャン誰もがそこから大きな影響を受けていました。パーカーはその後のジャズの方向性を変えてしまいましたが、それは彼らによるパーカーから学んだ技術の継承があったからこそ。優れた継承者がいたことによって、先駆者パーカーの功績はより輝いたわけです。まず、ビバップとパーカーに関わりのあるミュージシャンから。(日付は誕生日)
*マックス・ローチ(1月10日/ドラムス。パーカーと共演)
*J.J.ジョンソン(1月22日/トロンボーン。ビバップ・トロンボーンの第一人者)
*ソニー・スティット(2月2日/アルト&テナー・サックス。パーカー・スタイルのフォロワー)
*サラ・ヴォーン(3月27日/ヴォーカル。パーカーと共演。ビバップ・スキャットの先駆者)
*ラッキー・トンプソン(6月16日/テナー・サックス。パーカーと共演)
*アル・ヘイグ(7月19日/ピアノ。パーカーと共演)
*ケニー・ドーハム(8月30日/トランペット。パーカーと共演)
*バド・パウエル(9月27日/ピアノ。パーカーと共演)
*ジョージ・ウォーリントン(10月27日/ピアノ。パーカーと共演)
ほかにもこんなミュージシャンが1924年生まれです。
*チャーリー・ラウズ(4月6日/テナー・サックス。セロニアス・モンク・カルテットで活躍)
*ショーティ・ロジャース(4月14日/トランペット。ウエストコーストで活躍)
*ブロッサム・ディアリー(4月28日/ヴォーカル&ピアノ)
*ビル・パーキンス(7月22日/テナー・サックス。ウエストコーストで活躍)
*ダイナ・ワシントン(8月29日/ヴォーカリスト)
*ポール・デスモンド(11月25日/アルト・サックス。「テイク・ファイヴ」が有名)
ミュージシャンではありませんが、ジャズ・ファンならきっと知っているこの人たちも生誕100年です。
*ルディ・ヴァン・ゲルダー(11月2日/レコーディング・エンジニア)
*ヘンリー・マンシーニ(4月16日/映画音楽作曲家)
生誕100年を機に、あらためて彼らの活動と功績に注目したいと思います。
文/池上信次
フリーランス編集者・ライター。専門はジャズ。ライターとしては、電子書籍『サブスクで学ぶジャズ史』をシリーズ刊行中。(小学館スクウェア/https://shogakukan-square.jp/studio/jazz)。編集者としては『後藤雅洋著/一生モノのジャズ・ヴォーカル名盤500』(小学館新書)、『小川隆夫著/マイルス・デイヴィス大事典』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、『後藤雅洋監修/ゼロから分かる!ジャズ入門』(世界文化社)などを手がける。また、鎌倉エフエムのジャズ番組「世界はジャズを求めてる」で、月1回パーソナリティを務めている。