しばらく歩くと足に痛みやしびれが出て歩けなくなるけれど、少し休むとまた歩ける。
間欠性跛行の症状は本当につらいものですが、セルフケアやトレーニングで改善することもできます。
その方法を全3回で解説。今回は第2回目です。
間欠性跛行とは
一定の距離を歩くと、ふくらはぎなどにうずくような痛みやしびれ・疲労感があって歩行が次第に困難になり、しばらく休息すると治まるものの、また歩き続けると再び痛みだすという症状です。
原因として神経性と血管性の2種類の疾患が疑われます。
(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト https://onl.bz/ueQ2X7y より)
今回ご紹介するトレーニングは、主に脊柱管狭窄症などによる神経性とされる間欠性跛行が対象です。
血管性の場合は効果があまりみられない可能性がありますのでご注意ください。
ポイントはふくらはぎ・股関節・体幹
ひとくちに間欠性跛行といっても、症状は人によって様々です。
太ももの裏が痛くなって歩けなくなる方もいれば、膝下がしびれて歩けなくなる方もいますし、脚全体が重だるくなって歩けなくなる場合もあります。
しかし多くの場合、ふくらはぎ、股関節、体幹の柔軟性や筋力などの機能を回復すると、これら脚の痛みやしびれの症状は改善してきます。
それぞれの改善ポイントは
ふくらはぎ → 柔軟性を高める(筋肉をやわらかくする)
股関節 → 柔軟性を高め、筋力を上げる(筋肉や関節をやわらかく、強くする)
体幹 → 筋力を上げる
となります。
前回の記事はこちら
↓
間欠性跛行を自分で治すトレーニングその1(全3回)ふくらはぎのセルフマッサージとストレッチ
今回は股関節のストレッチとトレーニングをご紹介します。
股関節のストレッチ
まずは股関節のストレッチです。
股関節のストレッチにはさまざまな方法がありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://re-studio.jp/)では、間欠性跛行の患者さんには以下のような方法をおすすめしています。
イスに座っておこなう股関節ストレッチ(1)
イスに座っておこなう股関節(殿筋)のストレッチです。このストレッチは中殿筋をはじめ、大殿筋やハムストリング、梨状筋など股関節の筋群の柔軟性を高め、血行を良くする効果があります。
自宅で出来る!腰痛トレーニングDVDより(https://www.re-studio.jp/dvd.html)
足の裏がしっかりつく高さのイスに、やや浅めに腰かけます。
片方の足首を、反対の膝に乗せます。
そのまま上半身を股関節から前に倒します。
背中や腰は丸め過ぎず、胸を脚に近づけるようにしていきます。
適度にお尻の筋肉が伸びたところで止め、30秒~1分ほど伸ばします。
終わったら上半身をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。
片側2~3回ずつおこないます。
※ご注意)痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
イスに座っておこなうストレッチ(2)
このストレッチは、股関節の一番奥にある小殿筋の柔軟性を高め、血行を良くするストレッチです。
足の裏がしっかりつく高さのイスに、やや浅めに腰かけます。
片方の足首を、反対の膝に乗せます。
組んだ脚の膝を手で軽く押さえ、上半身を反対方向にひねります。
この画像の場合、右の膝を右手で押さえて、上半身を左にひねっています。
上半身をひねったまま、斜め前方向に倒していきます。
股関節から倒すようにしてください。
股関節の中が開くような感覚、またそこから腰の横や背中にかけて伸びるような感覚が出たらそこで止め、30秒~1分ほど伸ばします。
終わったら上半身をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。
片側2~3回ずつおこなってみましょう。
※ご注意)痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
股関節周囲の筋肉を強くするトレーニング
股関節のトレーニングには様々なものがありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)では、間欠性跛行のある患者さんに、まずはワイドスクワットのトレーニングをおすすめしています。
いわゆる四股踏みスクワットです。
このトレーニングをおすすめする理由としては、膝や腰へかかる負担が少なく、ハムストリング、内転筋、殿筋、大腿四頭筋など多くの筋肉に効かせることができるからです。
またそれによって股関節から太ももを中心に、下半身全体の血行を良くすることができます。
以下を参考にやってみてください。
自宅で出来る!腰痛トレーニングDVDより(https://www.re-studio.jp/dvd.html)
足を広めに開き、つま先を45度くらいに外に向けて立ち、下腹を引っ込めるようにお腹を締めます。
膝に手を置くようにしながら腰を落とします。
腰を落とすときに、上半身はなるべくまっすぐにして、前傾姿勢にならないようにするのが良いでしょう。
できれば太ももが床と平行になるくらいまで腰を落とします。
そこまで落とすのが無理な場合は、膝が45度曲がるくらいまで頑張ってみましょう。
そこから腰を上げていきますが、内ももとお尻を締める力で戻るようにおこないます。
内ももとお尻を締める力とは、例えば膝の間に大きなボールをおいて、それを膝ではさんでつぶすようなイメージです。(下図)
膝で踏ん張ってしまうと、殿筋、ハムストリング、内転筋に効きづらくなってしまいます。
内ももやお尻を意識して使うようにすると、それらの筋肉に効いてきます。
実際にバランスボールなどを挟んでおこなうのも良いでしょう。
一動作をゆっくり5~10秒くらいかけ、はじめは1日に10~20回程度、慣れて来たら少しずつ回数を増やし、40~60回を目標に頑張ってみましょう。
はじめのうちは筋肉痛が出るかもしれません。その場合は1~3日に1回程度から様子を見て、徐々にトレーニング日数を増やしましょう。
※ご注意)痛みのためにこの動作ができない、またはこの動作をおこなうと症状が悪化する時はやめてください。
次回は体幹
次回は体幹のトレーニングをご紹介します。
それまでは今回の記事を参考に、股関節のストレッチとトレーニングをおこなってみてください。
この記事があなたの間欠性跛行を改善する一助になりましたら幸いです。
その他以下の記事で様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。
1日5分続けると効果的! 間欠性跛行を改善できる4つのストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第106回】(https://serai.jp/health/1111774)
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拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html