マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。

「働かないおじさん」という言葉が話題にのぼることが多くなりましたが、その存在は本人の問題だけにとどまりません。実は、彼らを“育ててしまっている”のは、上司であり組織の構造そのものなのです。この記事では、働かないおじさんを生み出す組織の特徴やマネジメントの誤り、そして成果を出す“イケおじ”に育てるための仕組みづくりについて、識学の視点から考察していきます。

「働かないおじさん」とは?

「働かないおじさん」とは、組織内で目立った成果を上げず、与えられた最低限の業務だけを淡々とこなし、それ以上のアウトプットを出さない中高年社員を指す俗称です。指示待ち、責任回避、変化への抵抗といった特徴が挙げられます。

年齢に関係なく成果を出す人もいる一方で、組織内に「働かないおじさん」が目立ち始めると、周囲のモチベーションや若手社員の成長意欲に悪影響を及ぼします。しかし、こうした存在を単に「意欲がない人」と切り捨ててしまっては、本質的な課題解決にはなりません。

働かないおじさんを「育てている」のは実は上司

意外に思われるかもしれませんが、「働かないおじさん」は自ら望んでその状態に陥ったわけではありません。多くの場合、彼らをそのような存在に“育ててしまった”のは、周囲の上司たちのマネジメントの在り方です。

例えば、「長年勤めてくれているから……」「年上だから厳しく言いづらい」といった感情に基づき、明確な評価や指導を避けてしまう場面があります。その結果、「成果が出ていなくても咎められない」「努力しなくても給与が上がる」といった誤ったメッセージを無意識に送ってしまうのです。

また、役割や期待値を明示せず、曖昧なまま業務を任せていると、「何をすれば評価されるのか」が本人に伝わらず、行動が停滞するのも無理はありません。上司の指導の質と一貫性が、部下の行動と意欲を左右しているのです。

働かないおじさんが増える組織の3つの問題点

働かないおじさんが増えていく組織には、いくつかの共通した構造的な特徴があります。以下に、その典型例を紹介します。

1.役割・成果の基準が不明瞭

「何をすれば評価されるのか」「どのような成果が求められているのか」が明確でないと、社員は行動指針を失います。特に、年次や社歴によって待遇が決まる文化では、「成果を出さなくても大丈夫」という風潮が蔓延します。

2.評価が属人的・感情的

「この人は昔がんばってくれたから」「年上だから波風を立てたくない」という理由で、成果が出ていない社員が許容されるケースも少なくありません。これでは頑張る人が損をする構造が出来上がってしまいます。

3.指示やルールの運用に一貫性がない

ルールが形だけで、実際の運用がバラバラな組織では、メンバーの責任感や危機感が薄れます。ルールを破っても許される、ルールを守っても報われないといった空気が働かないおじさんを増殖させます。

このような状態が続くと、若手社員の模範となるべき中堅・ベテラン層が「やらない方が得」というモデルとなってしまい、組織全体のパフォーマンスが低下していくのです。

働いて成果を出すおじさん(イケおじ)を生み出すには

では、どうすれば「働かないおじさん」ではなく、「働いて成果を出すおじさん=イケおじ」を育てることができるのでしょうか。識学のマネジメント理論に基づき、以下の3つのポイントを実践することが重要です。

1.明確な役割・成果指標を設定する

すべての社員に対し、「あなたの役割はこれで、求められる成果はこれです」と明示することで、行動と責任の方向性が定まります。「何をやればいいか分からない」という状態をなくすことで、自律的な働き方が促されます。

2.評価は“結果”にのみ紐づける

人柄や過去の貢献ではなく、現在の「結果」を基準に評価することが大切です。公平なルールがあることで、年齢に関係なくチャレンジし続ける風土が醸成されます。本人にとっても「努力すれば報われる」感覚が持てるため、モチベーション向上にもつながります。

3.上司自身がルールを守り、模範を示す

組織のルールを最も体現すべきなのは上司です。上司がルールを守らなければ、部下も当然守らなくなります。ルールを徹底し、感情に流されずに指示・指導を行うことが、信頼と規律ある組織を育てる鍵になります。

また、定期的に役割を見直し、現状に適した成果目標を設定し直すことで、「昔の経験にすがっているおじさん」ではなく、常に価値を発揮する“イケおじ”が組織に増えていくのです。

まとめ

「働かないおじさん」は、本人の資質の問題というよりも、組織の仕組みや上司のマネジメントに原因があることが多いものです。評価基準が曖昧で、感情に左右された指導が続く組織では、「やらなくても許される」「指示がなければ動かない」といった態度が自然と身に付いてしまいます。

そこで、識学が提唱するのは、「結果」と「ルール」によるマネジメントです。役割と期待値を明確にし、成果で評価し、感情に流されずに組織を運営することで、「働かないおじさん」を未然に防ぎ、年齢に関係なく成果を出し続ける“イケおじ”を増やすことが可能になります。

働かないおじさんを責める前に、自分のマネジメントや組織運営のあり方を見直すこと。それこそが、組織を強くし、未来のイケおじを育てる第一歩となるのです。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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