ある宿泊予約サイトの調査によると、北海道で人気ナンバーワンの温泉地は登別温泉だそうです。硫黄の匂いに包まれた温泉は自然湧出量1日1万トンを誇り、9種類の泉質が楽しめるというまさに「温泉のデパート」です。
登別の語源はアイヌ語で白く濁った川を意味するとされ、古くから川の色が変わるほどの豊富な温泉に恵まれていたのでしょう。日露戦争時には、負傷兵の保養地に指定され全国に知られるようになり、大正4年(1915)からは鉄道網が整備され、発展を遂げます。
旅館や飲食店、土産物店が並ぶ温泉街をそぞろ歩くのも楽しいですが、やはり迫力満点の地獄谷は訪ねてみたいところです。日和山の噴火活動でできた爆裂火口跡で、谷に沿って温泉の湧出口や噴気孔があり、さながら地獄のようです。
地獄谷のほか、鉄泉池や大湯沼、奥の湯など、マグマの威力を感じるような景勝地が点在します。また地獄につきものの鬼の像が温泉地のいたるところにあり、記念撮影の格好のスポットになっています。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。