県開発の「イバラキング」を主軸に菓子も手がけ茨城メロンを広める
深作農園●茨城県鉾田市
「メロンといえば茨城県。その実力を知ってもらい、メロン王国の地位向上を目指したいのです」
こう話すのは鉾田市にある深作農園6代目園主の深作勝己さん(41歳)。この農園では昭和30年代後半、大衆メロンとして普及したプリンスメロンから始まり、代々、さまざまなメロン栽培を手がけてきた。どの産地よりも正統派である自負があるという。
鉾田市は関東ローム層の水はけのよい大地と、太平洋からの海風で夜の気温が低くなり寒暖差が生まれる。メロン作りには最適な土地で、さらに深作農法という独自の環境循環農業を実践している。
「このあたりは養豚業が盛んなので、その豚糞ともみ殻を主体に発酵させた自家製堆肥を用いています。この完熟堆肥と有機肥料、そして乳酸菌や酵母など自然界の微生物を80種類以上組み合わせた善玉菌を利用した土作りをしています。また人間ドックと同様に土壌診断を年2回以上実施、栄養のバランスを見極めます」(深作さん)
連作を嫌うメロンだが、この農園では60年以上同じ土でメロンを作り続けている。
大きく甘いイバラキング
深作さんが手がけるメロンは、メロディーグリーンやアールスメロンなど5種類。なかでもイバラキングへの思い入れは格別だ。イバラキングは20年の歳月をかけて誕生した県のオリジナル品種で、ほかのネット系メロンに比べて1割以上大きい。しかし天候の影響を受けやすく作るのが難しい。
「網目が強く出て、一気に割れてしまうことがあります。イバラキングを大きく、甘く育てて皆さんに満足してもらいたいですね」と、深作さん。割れたり規格外の旬のメロンは加工用として、自社製のバウムクーヘンに生まれ変わる。
イバラキングを口に運ぶ。上品な香りと、滑らかできめ細かな舌触りのあとに、さっぱりした甘さが広がる。さすがメロン王国・茨城の顔である。
深作農園
茨城県鉾田市台濁沢361
電話:0291・39・8560
営業時間:9時〜17時30分
定休日:無休
園内には直売所もある。
取り寄せ期間: 〜10月中旬 注文方法:電話、50291・39・8488、オンラインショップ https://fukasaku-melon.com/
取材・文/関屋淳子 撮影/竹崎恵子
※この記事は『サライ』本誌2022年8月号より転載しました。