「バーレーワイン」をご存知だろうか? ワインと名づけられてはいるものの、300年以上前にイギリスで発祥したビールスタイルのお酒である。“大麦のワイン”とも呼ばれているのだそうだ。
長期熟成させることが大きな特徴で、アルコール度数は7%~14%が一般的。一般的なビールのアルコール度数が約5%だということを考えると、かなり特殊なビールであるといえる。
工程にも違いがあり、通常のビールよりも多くの種類の麦芽を大量に使用する。そのため、濃厚かつ複雑、そしてドライフルーツのような香りになるというわけである。そういう意味ではむしろ、ウィスキーやブランデーに似ているといえるかもしれない。
炭酸が低めなので、ゆっくり味わって飲むタイプ。熟成させているだけあって、苦み、甘味、アルコール感、エステル香がバランスよくマッチしているため、飲むプロセスをゆっくり楽しめるビールだといえそうだ。
一方で、長期熟成が必要なため、醸造に時間がかかり、年に何度も醸造することができないという特徴ももっている。
そんなバーレーワインの今年分の販売を今月から開始したのが、岩手県一関市に拠点を置く「いわて蔵ビール」(運営・世嬉の一酒造)。2015年12月に醸造し、10か月熟成させたものが発売となる。年に1度だけの発売だ。
同社のバーレーワインの特徴は、より複雑な味わいにするため、麦芽量を通常の4倍以上使用し、5種類の麦芽を組み合わせて濃厚な麦汁で醸造している点にあるという。それだけでなく、二段階発酵という方法でより香り高くおいしいビールに仕上げられているとのこと。
まずビール酵母で8%程度の「バーレーワイン」を醸造し、そこに補糖(砂糖を足して)ワイン酵母でさらに発酵。こうすることにより、アルコール度数14%以上になるわけだ。
なんといってもポイントは、熟成の進む「成長するお酒」であるという点。早い時点から突出している甘さ、うまみ、苦み、香りは、9か月以上低温で熟成させることによって味がまとまり、さらにバランスのよいビールになるのだ。
ちなみに、いわて蔵ビールの「バーレーワイン」は、ワールド・ビア・アワードにて3年連続でジャパンベストビアなどに選ばれている。今回発売される2015年12月醸造分は、限定600本のみの販売だそうなので、チャンスは逃したくないところだ。
※限定600本売り切れ次第終了
※醸造量は約1,000Lですが、500Lはさらに貯蔵用、500Lのうち一部飲食店様や出資者からすでに予約済みの商品となります。一般には600本限定となります。
【商品についてのお問い合わせ】
世嬉の一酒造(いわて蔵ビール)
電話/0191・21・1144
文/印南敦史