「自分は何をやってもうまくいかない」「自分は運が悪いから、仕方がない」――知らず知らずのうちに、そんな思考に囚われていませんか?
じつはそのネガティブ思考こそが、何をやってもうまくいかない状態を作り出している張本人。うまくいかないからネガティブになるのではなく、ネガティブな思考パターンを取り続けているから物事がうまくいかないのです。
そう指摘するのが、脳科学の重鎮・佐藤富雄氏の弟子で日本FX機構代表理事の野口健幸氏。
ネガティブ思考を払しょくし、やることすべてがうまいくいく状態を作り出せれば人生はまったく違ったものになります。
そこで、野口氏の著書『人生は「口ぐせ」でまるごと変えられる。』(秀和システム)から、ネガティブ思考を脱却し、すべてがうまくいくようになる2つの習慣に注目します。
■いい言葉のパワーで脳を活性化させる
ひとつめの習慣は、いい言葉を選んで使うようにすること。
すべてがうまくいく状態を引き寄せるには、脳がいきいきと働いていることが重要。科学的にも、人間の脳は気分のいいときにもっともよく働くことが証明されています。前向きな言葉を浴び続けることで、脳の自律神経系が体の随所にいい反応を引き起こすのです。
「大好き!」「楽しい!」「素晴らしい!」といった好意を示す言葉や「よかった!」「嬉しい!」「感動した!」「ありがたい!」といった感謝や感動を表す言葉を使うよう心がけるだけで、ものの考え方や感じ方がポジティブ変わり、仕事に対する姿勢も前向きに、建設的なものになっていくといいます。
また、同じ出来事でも「ツイてる!」「うまくいった!」「ラッキー!」という感想を口にすることで、自分にとってプラスの結果にすることができます。
こうした、たくさんのいい言葉を意識して使うことで、脳が活発に働きだし、運のいい人、すべてがうまくいく人になることができるのです。
その上で野口氏は、「わたしは自分の夢に向かいつつある」と口にすることを毎日の習慣にしているといいます。
口ぐせになるまで意識して前向きな願望をつぶやき、自分自身の脳にしっかりと聞かせることで、脳がその気になり、現実を動かしていきます。
■いい言葉を日記に残して未来を変える
人生を丸ごと変えるもうひとつの習慣は、いい言葉だけを使ってポジティブ日記を書くこと。
著者がすすめるポジティブ日記は、ふたつ。
ひとつめが、仕事が忙しい、思うように進まないなど、物事の悪い面ばかりが目についてしまうときは感謝日記です。
感謝日記とは、日々ありがたいと感じたことをリストアップするもの。これを続けていくと、どんな状況下でも「ありがたい」と思えるようになり、自分は恵まれているんだという意識を育てることができます。
感謝日記は、つけっぱなしではなく読み返すことでさらに効果を発揮。物事のいい面に気づくことができるようになれば、積極性やひらめきを取り戻すことができます。
もうひとつが、未来日記。漠然とした不安やあきらめに囚われているときに効果的な日記です。
大好きなものや本当にほしいものをどんどん書き、未来を具体的にイメージします。
これは、わたしたちが本来持っている、夢をかなえる力、成功する力、幸せになる力を最大限に引き出すツール。
未来日記によって未来の希望や夢がハッキリとした目標に変わり、そこへ到達するまでの道筋がハッキリと見えてくるといいます。
感謝日記と未来日記を習慣にすれば、どんなことにも心から感謝でき、望む未来に突き進む準備が整います。
脳を活性化させることで発想が柔軟になり、クリエイティブな考え方ができるようになります。その結果、仕事の効率がよくなり、生産性がアップします。
迷うことなく目標に突き進んだその先にやることなすこと全部うまくいく状態が待っている――野口氏はそう指摘します。
* * *
ちなみに野口氏は、いい言葉だけを使うように意識すれば早くて3か月で大きな変化が訪れるといいます。
しかし、誰にでも苦手はあるもの。
「これはちょっと苦手だ……」「うまくいかないな……」などネガティブな言葉を口にしてしまったときには、すぐに「キャンセル」と言って取り消してしまいましょう。
「キャンセル」という言葉を切り替えの合図にして「大丈夫。できる!」と言い直してしまうのです。「できる」の自己暗示で脳が活発に働きだし、苦手意識を消すことができます。
そもそも日本人は古くから言葉にたましいが宿ると信じ、言葉の力を大切にしてきました。いつも同じような言葉を使っていれば新たな発想は生まれません。後ろ向きの言葉を使っていると積極性が失われるのも当然のこと。そして、その逆もまたしかり。
人生を変えるのに、遅すぎることはありません。まずは、言葉の持つ力を信じてみませんか?
【参考図書】
『人生は「口ぐせ」でまるごと変えられる。』
(野口健幸・著、秀和システム)
文/よりみちこ