現在、『小桜』は3代目となる亮さんが加わり、親子で切り盛りされています。亮さんに話をうかがってみましょう。

「素材選びや調理方法など、できるだけ今までと同じスタイルで続けていきたいですね。チャンプルーに使う島豆腐は、うちで昔から使っている牧志公設市場にある『瑞慶覧豆腐(ずけらんとうふ)』ですし、揚げたピーナッツに奄美産の粒味噌をからめた酒肴の『ミソピー』も相変わらず店の名物です。島ラッキョウは、祖母が丹精込めて作る畑で採れたものです。この間、収穫を手伝いましたよ」

ミソピーに使う味噌は、味噌汁に使う漉(こ)したものとは違って大豆の粒が残り、ご飯のおともやお茶うけを作る際に用います。ミソピーは香ばしさとほんのりした甘さが泡盛とよく合います。お土産に買い求める人も多いようです。

リサイズ/写真3ミソピーA

ミソピーは、粒が残る味噌とピーナッツとの相性がよく、味はもちろん、それぞれの食感の違いも楽しめる一品です。

料理の幅は広げずに、あくまで泡盛に合う酒肴が献立の基本ですが、最近、品書きに加わったのが「塩ナンコツソーキ」です。ソーキ(豚のあばら肉)の味付けは、ソーキそばでおなじみの甘い醤油味ではなく、塩味であっさり仕上げています。しかも軟骨部分を使っているので煮込むと骨まで食べられます。コラーゲンを求める女性客にも評判だそうです。

リサイズ写真5塩ナンコツソーキ

「塩ナンコツソーキ」は醤油の代わりに、塩で煮付けます。ひとりで来店した客向けに、ひと皿を半量分にする「ハーフ」にも対応してくれます。

先代から受け継がれる味と、時代に応じて少しずつ変えていく味--。これが半世紀以上、地元民に愛され続ける秘訣なのかもしれません。『小桜』は”本物の味”と泡盛を楽しめる那覇の名店です。

トリミング写真6泡盛

泡盛は本島南部の東風平(こちんだ)にある神谷酒造所の『南光』をはじめ、常時40種類以上を揃え、グラスでも半合や1合でも注文できます。

■小桜
住所/沖縄県那覇市牧志3−12−21
電話/098-866-3695
営業時間/18:00~23:00(L.O.22:30)
定休日/水曜・日曜
http://www.kozakura.co

取材・文/鳥居美砂
ライター・消費生活アドバイザー。『サライ』記者として25年以上、取材にあたる。12年余りにわたって東京〜沖縄を往来する暮らしを続け、2015年末本拠地を沖縄・那覇に移す。沖縄に関する著書に『沖縄時間 美ら島暮らしは、でーじ上等』(PHP研究所)がある。

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