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前列中央から時計回りに、ご飯、野蕗のきゃらぶき、煎り豆腐(人参)、鶏そぼろ、漬物(胡瓜と人参の糠漬け・壬生菜・刻み沢庵)、焼き海苔、ごんげん蒸し、大根おろし(葱・鰹節・胡麻)、納豆(葱)、絹さやの浸し(鰹節)、味噌汁(豆腐・若布・葱)、中央右は焼き鮭、左は蒲鉾と山葵漬け。今朝は小鉢に盛っているが、常備菜のきゃらぶきや煎り豆腐、鶏そぼろ、加えてごんげん蒸しなどは大皿で登場し、取り分けていただくことが多い。絹さやは昨夜の残りを浸しに。蒲鉾は、山葵漬け(静岡『野桜本店』の激辛口)をつけて食す。焼き海苔は東京・品川の『みの屋海苔店』のものを愛食。焼き海苔とごんげん蒸しの器の模様は、定紋である揚羽蝶。

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旅行

【京都 美の鑑賞歩き】 第5回~法然院で25菩薩の散華と、狩野光信・堂本印象の競作に出会う

法然院1 (法然院)御本尊阿弥陀如来像
法然院本堂内陣に安置される本尊・阿弥陀如来坐像と25輪の散華。


京都では毎年春と秋に、通常は非公開の国宝や重要文化財を含む仏像や建築、絵画、庭園などが「特別公開」される。この催しは、「京都非公開文化財特別公開」と呼ばれ、この秋で通算68回を数える。今回は市内の20社寺などで開催されるので、京都を訪れた際はぜひ、普段見ることのできない「伝統の美」
の数々にふれてみてはいかがだろう。

生花で表現した25菩薩

京都御苑の北端を東西に走る道を今出川通りという。その通りを東へ進むと、銀閣寺橋に至る。疏水分流にかかる小さな橋である。その橋を渡ってさらに東へ進めば、そこは左右に土産物店が並ぶ銀閣寺の参道である。

今回は銀閣寺橋を渡らずに、疎水の西側に沿った細い道を歩くことにしよう。この道は哲学者の西田幾多郎(にしだきたろう 1870~1945)が散策し、思索にふけった道であったことから、いつしか哲学の道とよばれるようになった。秋は道沿いの樹木が錦に染まる紅葉名所でもあり、いまでは全国から観光客が訪れ、思索するにはやや賑やか過ぎるかもしれない。

歩き始めて10分足らず、小さな石橋を渡り左折すると今回の目的地、法然院(ほうねんいん)の垣根が姿をあらわす。

寺名の通り、この寺院は浄土宗の開祖・法然上人(1133~1212)ゆかりの古刹である。鎌倉時代の初め、法然はこの地の草庵で弟子の安楽(あんらく)・住蓮(じゅうれん)と念仏三昧に励んでいた。

建永(けんえい)元年(1206)12月のこと、後鳥羽(ごとば)上皇が熊野行幸で京の都を留守にした。上皇の女房だった松虫・鈴虫は、以前、説法を聞いて感銘を受けた安楽・住蓮を訪ね出家を願い出た。それを知った上皇は激怒し、翌年の2月、安楽・住蓮を斬首、法然を讃岐国(さぬきのくに 現・香川県)へ流罪とした。法然晩年の悲劇である。

その後、草庵は荒れはててしまったが、江戸時代に入り、知恩院第38世萬無(ばんぶ)上人は弟子の宣誉忍澂(せんよにんちょう)に託し、法然上人ゆかりの地に念仏道場を建立。それがいまの法然院へと発展した。

山門を入ると左右に長方形の盛砂がある。白砂檀(びゃくさだん)といい、檀の真ん中を通れば身心が清められる。苑路を進み右に折れると本堂と方丈が並ぶ。本堂に安置された本尊は阿弥陀如来坐像。日頃は縁側からの拝観となるが、特別公開の期間だけ入室が許される。本尊両側に立つ脇侍(わきじ)は観音・勢至の菩薩。さらに法然・萬無上人像も安置されている。

驚かされるのは、須弥壇(しゅみだん)上の床に毎朝欠かさず散華(さんげ)される生花である。全部で25輪。なぜ、25輪なのか。
浄土教の教えによれば、阿弥陀如来は25の菩薩を従え、死を直前にした者を迎えにくるという。法然院では境内の花を集め、それを25菩薩に見立てる。本尊に近いほうから、3輪1列、以下4輪1列から7輪1列まで。しかも毎朝のことなので、花は季節によって異なる。

日本の生け花の始まりは、仏への供花(ぐか)にあるとされる。法然院で行なわれる毎朝の散華は、本来の生け花への新たな回帰といえなくもない。

法然院2 (法然院)重文 狩野光信筆襖絵
法然院方丈では狩野光信筆「桐に竹図」「槙に海棠図」などの襖絵を鑑賞できる。

狩野光信と堂本印象の共演

方丈では桃山時代の絵師・狩野光信(かのうみつのぶ ?~1608)と現代の日本画家・堂本印象(どうもといんしょう 1891~1975)の襖絵を鑑賞できる。光信の襖絵は国の重要文化財に指定されている名品。まさに古典と現代の競作である。

光信は、狩野派の基礎を築いた永徳の長男。永徳亡きあと狩野派を率いたが、40代半ばで桑名で客死した。画風は父の豪放雄大さと異なり、繊細かつ理知的で、とりわけ花鳥画に秀でていた。京都に残る作品では、相国寺法堂(はっとう)の天井画「蟠龍図」(ばんりゅうず)がある。

法然院の方丈は、後西(ごさい)天皇の皇女・誠子(せいし)内親王の御座所を移建したもの。金地に桐や竹、海棠(かいどう)などの植物が、女性の住まいにふさわしく、やや控えめに描かれている。

堂本印象の襖絵は、水墨に金箔を張りめぐらせた大胆な構図で、最晩年に描いた彼の代表作である。じっと見ていると、モダンな中に狩野派に通じるものを感じる。印象は仏教を深く学び、生涯に600点以上の襖絵・障壁画を残した。彼の業績を伝える堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町26-3)にもぜひ足を運びたい。

 

法然院
住所/京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30
公開期間/11月1日(日)~11月7日(土)
公開時間/9:00~16:00(受付終了)
拝観料/800円
URL/http://www.honen-in.jp/
問い合わせ先/075-754-0120(京都古文化保存協会)

 

文/田中昭三
編集者を経てフリーに。日本の伝統文化の取材・執筆にあたる。『サライの「日本庭園」完全ガイド』(小学館)、『入江泰吉と歩く大和路仏像巡礼』(ウエッジ)、『江戸東京の庭園散歩』(JTBパブリッシング)ほか。

 

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