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佐原の街並み|江戸の情緒が残る利根川沿いの水郷の町【日本の古い街並み紀行 第1回】

写真・文/石津祐介

千葉県の北東部に位置する佐原。江戸時代には水運で栄え、「お江戸見たけりゃ佐原へござれ 佐原本町 江戸優り」と謳われ、大いに賑わった。町中を流れる小野川沿いには多くの問屋や商家が並び、当時の繁栄ぶりがうかがえる。

水運で栄え「江戸優り」といわれた佐原の町並み

江戸幕府は水害対策の治水と新田開発や水上交通の整備という利水の目的で、それまで江戸湾(現在の東京湾)に流れ込んでいた利根川の流れを変える東遷事業を行った。これにより年貢米の輸送などで水運業が盛んになり、利根川の支流である小野川沿いには物資を荷揚げする「だし」が多く作られた。

また、佐原は陸上交通の要所であり、人と物が行き交い賑わいをみせたという。

荷揚げ用に作られた階段「だし」

そしてもう一つ、佐原といって忘れてならないのは、かの伊能忠敬。全国で測量を行い、正確な日本地図を完成させた測量家として知られている。上総国山辺郡小関村(現在の千葉県九十九里町)に生まれ、後に佐原の伊能家の婿養子となる。49歳で隠居し、単独で江戸へ出て測量を学び、55歳から全国でのべ10回の測量を行い17年の歳月をかけて日本地図を完成させた。

彼が江戸に出るまで住んでいた伊能忠敬旧宅は、国の指定史跡となっている。旧宅前に架かる樋橋は、かつて対岸の水田に水を送る大きな「とい」であり、そこから水が流れ落ちる音から別名「じゃあじゃあ橋」とも呼ばれており、日本の音風景100選にも選ばれている。

伊能忠敬が隠居するまで過ごした旧宅

小野川に架かる樋橋(とよはし)かつて水田に水を送っていた

小野川沿いに立てられた記念碑

佐原の町並みは重要伝統的建造物群保存地区として選定されており、町の中心部を南北に流れる小野川と、そこを交差する香取街道沿いに県指定の文化財が軒をつらねている。

呉服屋や蕎麦屋、醤油や酒造など醸造業の商家、そして町家など江戸から明治にかけての重厚な蔵造りの建物が並ぶ。

中村屋商店。香取街道と小野川が交差する敷地に建ち、1874年(明治7年)頃より雑貨や畳表を商ってきた。

右から正文堂、小堀屋本店、福新呉服店、いずれも千葉県有形文化財で香取街道沿いに建つ。

福新呉服店の中庭は公開されており、佐原の商家の典型的な造りとなっている。

江戸時代より醤油の醸造をしていた老舗の正上醤油店。創業は1800年(寛政12年)。

重厚な造の土蔵は、明治初期の建築。

旧油惣商店は、1900年(明治33年)建築の旧店舗と、1798年(寛政10年)建築とされる土蔵がある。

現在では千葉の小江戸と称され、江戸の文化が色濃く残る水郷の町、佐原。ここで行われる関東三大山車祭りの一つで300年の歴史を持つ「佐原の大祭」(佐原の市街地で行われる7月の本宿祇園祭と10月の新宿秋祭りの総称)は、佐原の気負いが感じられる、まさに「江戸優り」の祭り。この祭りの時期に、江戸の賑わいを感じに佐原を訪れてみるのも一興だろう。

【香取市佐原の重要伝統的建造物群保存地区】
■住所:千葉県香取市佐原イ
■交通:電車 JR成田線 佐原駅より徒歩15分 車:東関東自動車道 佐原香取ICから10分

写真・文/石津祐介
ライター兼カメラマン。埼玉県飯能市で田舎暮らし中。航空機、野鳥、アウトドア、温泉などを中心に撮影、取材、執筆を行う。

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