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東京都選定歴史的建造物の山本亭。2016(平成28)年12月に改修工事が終了し、再オープン。
写真・文/石津祐介
「男はつらいよ」のロケ地で有名な東京・葛飾区柴又にある『山本亭』。大正末期から昭和初期に建てられた木造の和洋折衷の建物で、当時の建築様式が垣間見れる歴史的な建造物です。
元々は地元のカメラ部品製造工場の創業者、山本栄之助氏の自宅で以降4代にわたり使われていましたが、1988(昭和63)年3月14日に葛飾区の所有となり、1991(平成3)年4月から一般公開され、現在は区が登録有形文化財に指定しています。
1926(大正15)年から1930(昭和5)年までに増改築が重ねられ、当時流行した洋風建築を取り入れる意匠が随所に見られます。
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来客をもてなす応接室として建てられた洋室「鳳凰の間」。寄木細工の床、ステンドグラスなど工夫を凝らした内装が素晴らしい。
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瓦葺きの伝統的な長屋門に、洋風の意匠が見られる和洋折中の門。
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門番が常駐していた長屋門の袖部屋にあるステンドグラス。
山本亭で一番古い建築物は2階建ての土蔵で、土を厚く塗り外観からは柱の見えない大壁造りが特徴。基礎は凝灰岩、下端部石張り、上端部は白漆喰塗りで仕上げてあります。
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正確な建築年数は分からないそうですが、山本亭で一番古い建築物の土蔵。
建物内部に和室は6部屋あり、角部屋の2部屋は欄間に床の間や違い棚など、和風建築の伝統的な書院造の特徴が見られます。
廊下の天井は数奇屋風で、大きなガラス戸は採光が良く明るい空間を演出しています。全ての部屋は廊下を挟んで庭に面しており、ほとんど壁がない開放感あふれる造りになっています。
また居宅は、中央の廊下を境とした二世帯住宅の様式となっています。
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手前から星の間(6畳)、月の間(8畳)、花の間(10畳)。ガラス戸やガラス欄間を多用することで開放感のある空間になっています。
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採光の良い大きなガラス戸の廊下。部屋は廊下を挟んで庭に面しています。
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床の間や違い棚など、伝統的な書院造りの特徴が見られる居室。
主庭は緑先の近くに池泉、背後に築山を設けて滝を落としている典型的な書院庭園で、面積890㎡の庭園にはマツやツツジなど400本以上の木々が植えられています。
この庭園は、アメリカで出版されている日本庭園の雑誌「Sukiya Living(数寄屋リビング)」で4年連続で全国第3位に選ばれ、毎年上位にランクインしており、アメリカをはじめ海外でも評価の高い日本庭園です。
山本亭では喫茶もあり、抹茶やぜんざい、コーヒーなどを庭を眺めながら楽しめます。
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山本亭の最大のみどころ書院造の日本庭園。海外での高い評価を受けています。
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喫茶メニューがあり、ゆっくりと庭を眺めながら楽しめます。
下町に建てられた和洋折衷の木造建築、山本亭。大正から昭和初期にかけての近代建築様式に腰を落ち着けて、日本庭園を眺めながらゆっくりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
【山本亭(やまもとてい)】
■所在地:東京都葛飾区柴又7丁目19-32
■電話:03-3657-8577
■入館料:100円
■開館時間:9時〜17時
■休館日:第3火曜日
■アクセス:京成柴又駅下車、徒歩8分。金町駅前発小岩駅行バスにて「柴又帝釈天」バス停下車、徒歩約7分。
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