南フランスのさらに南端、スペインとの国境にそびえるピレネー山脈。その麓を、小さな山岳列車がことこと走っている。ヨーロッパ最高峰を走る鉄道、プチトラン・ジョーヌだ。
「黄色い列車」を意味するプチトラン・ジョーヌは、標高1600mにも及ぶヨーロッパで一番高い場所であるピレネーの山並みを縫うように走り抜ける景観列車。ヴィルフランシュ・ヴェルネ・レ・バンとラトゥール・ド・カロルを 結ぶおよそ63kmの路線を約3時間かけて走る。
開業はなんと1903年。100年以上の歴史を持つ古い鉄道なのだ。ではその沿線の景観をご紹介しよう。
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ヴィルフランシュを出発してすぐに谷が深くなり、最初の高架橋のセジュルネ橋を通る。このあたりで標高は1.000mとなる。
そこからさらに登り、もう一つの橋、ジスクラールの吊り橋を通過する。
その後は徐々に視界が開け、盆地のセルダーニュ高原を通る頃、標高は1.500mを超える。
そこからラトゥール・ド・カロルまで直線距離にすると80kmほどの間で1.600m下ることになるので、勾配の差も楽しむことができる。
雄大なピレネーと、その裾野に広がる町々を見下ろして走るだけに、他では味わえないような景観を楽しむことができるのが、プチトラン・ジョーヌの何よりの魅力だ。
また大半の列車に無蓋客車が連結されているので、雨の少ないピレネー地方の心地よい風に吹かれながら景色を楽しむことができる。
ピレネー山脈の風光明媚な自然の中を走る小さな鉄道プチトラン・ジョーヌ。その魅力は、旅慣れた大人の旅行者にこそ実感できるものかもしれない。
【乗車駅までのアクセス】
パリからTGVで5時間でペルピニャンに着く。ローカル線に乗り換えて始発駅のヴィルフランシュ・ヴェルネ・レ・バンまで電車で50分。
【参考リンク】
※ ヨーロッパ最高峰を走る鉄道、プチ・トラン・ジョーヌ
文/印南敦史+編集部