長野県上田市。昔、鹿に化身した文殊菩薩が信仰心の篤い猟師に、効能あらたかないで湯を教えたという鹿教湯(かけゆ)温泉があります。古くから湯治場として栄えた湯の町です。ちょうど今、温泉街の中心に「ほたる水路」があり、幻想的な蛍の光を楽しむことができるといいます。
鹿教湯温泉の湯は無色透明の単純温泉。入浴はもちろんですが、飲泉も可能でクセがなく飲みやすい湯で、飲泉では整腸作用や胆汁分泌促進に効能があります。単純温泉は体への負担が少ない温泉ですので湯治向きといえます。1週間は無理でもせめて2、3泊して、温泉のよさをじっくり感じてみたいものです。
湯治はただ、のんびりと温泉に入るだけではいけません。体調に合わせて体を動かすことも必要です。鹿教湯温泉では「鹿教湯二十一番名所めぐり」というスタンプラリーを行っています。文殊堂や屋根つきの橋・五台橋、月見堂や展望台などを結ぶ全長13km。清流や山々の景色を楽しみながら、数日かけて歩くことがおすすめです。日常とは違う環境でリラックス&リフレッシュする、それが今どきの湯治の最大の目的です。
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取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。