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角間温泉「大湯」|文人に愛された北信濃の湯治場のシンボル【訪ねて行きたい鄙び温泉】

写真・文/石津祐介

冬はスキー客で賑わう志賀高原。その入り口に位置する長野県山ノ内町にある湯田中渋温泉郷は、渋温泉や地獄谷温泉など有名な温泉で知られた温泉地です。郷内には共同浴場も数多くあり、湯治場の雰囲気も色濃く残っています。

今回紹介する角間(かくま)温泉は、この温泉郷の中でもでとくに歴史が古く、遠く室町時代に蓮如が発見したと伝えられており、江戸時代には松代藩の宿としても利用されたそうです。

また文化人にもゆかりのある湯としても知られ、文人の林芙美子や吉川英治が執筆のため逗留し、かの日本画の大家、横山大観もこの地にアトリエを設けています。

温泉地を流れる角間川沿いには、内湯のある温泉宿が数件並び、それに併せて「大湯」「滝の湯」「新田の湯」と3つの共同浴場があります。なかでも、その中心にある「大湯」は、角間温泉のシンボルとも言うべき趣のある木造の湯屋建築です。

趣ある木造の湯屋建築 、角間温泉のシンボル「大湯」

中野市方面から温泉へ向かう道中、国道をそれて山あいの道を進むと温泉地に入るのですが、すぐに目に入る大湯の存在感たるや感慨深いものがあり、この温泉の歴史を感じずにはいられません。

共同浴場は、基本的に地元の方と温泉宿の宿泊者専用なのですが、大湯の前にある黒鳥商店さんで日帰り入浴を受付けており、車の鍵と交換で温泉の鍵を貸してくれます。

この鍵が一見シンプルな木の棒なのですが、いざ鍵穴に差し込むと電子ロックのように「ガチャ」と鍵が開く。どういう仕組みになっているのかとても気になります。

共同浴場の鍵。その外見からは想像もつかないハイテクな仕組み。

立派な木製の看板がある入り口。左手が男湯で鍵を開けて入ります。

大湯をはじめ角間温泉の共同浴場は、脱衣所と浴室の仕切りがなく一体化しており、よく知られた野沢温泉と同じような作りになっています。

高い天井には大きな湯気抜きがあり十分に換気がされていて、採光もよいので浴場が明るく照らされています。また壁には年季の入った木製の分析表が堂々と掲げられています。浴槽は水色のタイル張りで縁は黒い御影石で3~4人が入れる広さとなっています。

大湯のお湯は無色透明で、アルカリ性のナトリウム塩化物泉。源泉かけ流しで加温、消毒、循環は無し、源泉が86度と高温のため加水をして調整しています。湯の新鮮さを感じるサラッとした肌に優しいお湯で、最近ではアトピーに効く湯と言うことで訪れる人も多いのだとか。

浴室内はタイル張り。壁には石鹸を置くためのくぼみがあります。

年季の入った天井。大きな湯気抜きのある高い天井は採光もよい。

角間温泉の共同浴場は地元の方が交代で清掃作業を行っており、古いながらも清潔に保たれています。地域で大切にされ生活に密着した温泉である事が伺えます。

また、この共同浴場は温泉療法にも利用されており、療法士が入浴指導を行っているのを目にします。

大湯から50mほど離れた場所に位置する滝の湯。

滝の湯から50mほどの場所にある新田の湯。共同浴場の中では最も古い建物。

大湯よりも、さらに小さな浴槽。床はタイル張りで浴槽はコンクリート製。

小さいながらも、その歴史と文化人が愛した角間温泉。湯治の雰囲気が残るこの温泉地で、共同浴場を巡り地元の方と触れ合いながら日々の喧騒を忘れてのんびり過ごしてみてはいかがでしょうか。

【角間温泉 大湯】
■住所:長野県下高井郡山ノ内町角間
■電話:なし
■営業時間:日帰り入浴は8:30〜16:00
■交通:長野電鉄線湯田中駅より角間温泉行きバス利用
■料金:300円
http://www.kakumaonsen.jp

写真・文/石津祐介

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