仙台駅から車で約30分、仙台の奥座敷として親しまれているのが、秋保(あきう)温泉です。同じ宮城県の鳴子温泉、福島県の飯坂温泉とともに東北三名湯といわれています。
伊達正宗が仙台に入府すると、秋保温泉には伊達家の御殿湯が整備され、江戸時代には湯治場として庶民の憩いの湯として利用されました。大正3年(1914)に仙台市内と秋保を結ぶ馬車軌道が開通すると、旅行客が増加、温泉地として飛躍的な発展を遂げました。
温泉の泉質は塩化物泉。体のコリをほぐし、疲れを癒してくれます。
温泉街は名取川沿いにあり、江戸時代に創業した老舗宿などもあって、落ち着いた佇まいです。宿の前には磊々(らいらい)峡という変化に富む美しい峡谷があり、観光客の目を楽しませています。さらに、国指定名勝の秋保大滝は錦繍の秋は絶景となります。川沿いの遊歩道を辿れば、幅6m、落差55mという名瀑の迫力ある姿と、色とりどりの紅葉を眺めることができ、これからの時期、おすすめのスポットです。
国指定名称の秋保大滝
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。