年間を通して温暖な房総半島。この時期はもう菜の花が真っ盛り。一足早い春を楽しむことができます。外房、鴨川市の天津小湊は日蓮上人の生誕地であることで知られ、建治2年(1276)に誕生寺が建立され、現在、日蓮宗の大本山となっています。
誕生寺のすぐ近くにある鯛の浦は、日蓮が両親の供養に小舟で海に出て題目を唱えると、海面に題目の文字が現れ、そして鯛の群れがその題目を食べつくしたと伝承されるところです。群れをなさないといわれる真鯛が水深の浅い海域で群れ泳ぐことから、国の特別天然記念物に指定。遊覧船で鯛の出現ポイントへ向かい、船頭が餌をまくと、海底から鯛の群れが現われるという、何とも不思議な光景が展開します。
鯛の浦からほど近い城崎海岸に湧くのが天津小湊温泉です。平成14年開湯という新しい温泉ですが、湯量も豊富で、泉質はナトリウム・塩化物‐硫酸塩‐炭酸水素塩泉。筋肉疲労に効き、さらに女性に嬉しいアルカリ性の美肌の湯です。潮騒を聞きながらの入浴は気分がよく、体のコリがほぐれるようです(写真は宿中屋の露天風呂)。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。