取材・文/関屋淳子
映画『ハイジ アルプスの物語』が、8月26日から東京・恵比寿の「YEBISU GARDEN CINEMA」ほかで全国ロードショーとなります。名作アニメ『アルプスの少女ハイジ』に親しんだ世代には、なんとも嬉しいかぎり。家族で、三世代で楽しめる映画です。
あのハイジの世界を実写にしたらどうなるか。映画館のスクリーンで堪能したいものです。
この映画でも描かれているアルプスの雄大な自然は、スイスの大きな魅力のひとつ。なかでもユングフラウ地方は、いかにもスイスらしい、美しい山岳風景や咲き誇る花々に出合える場所です。そんなユングフラウ地方きっての絶景スポットをご紹介しましょう。
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ユングフラウ地方は、スイス中央部にあるベルン州南部の山岳リゾートで、世界遺産にも認定されているアイガー、メンヒ、ユングフラウの三山を望む、アルプス観光のハイライトと言われています。
今回ご紹介する場所は、標高1000m余りのグリンデルワルトから6人乗りのゴンドラで約25分、谷間の小さな村を眼下にしながら到着する、標高2168mの「フィルスト」です。
フィルストはアイガー北壁を目の前にするビュースポット。ここから山上湖・バッハアルプゼーなどへ約20本のハイキングコースが整備されています。コースの総延長はなんと約200㎞にもなります!
美しい山々に囲まれるコースの足元には、可憐な高原の花が咲いています。山を見晴らし、花を愛でながら、誰もが自分のペースで楽しむことができる地です。
2015年、ここフィルストに山並みを眺めるのに格好の遊歩道が完成しました。それが全長250mの「クリフ・ウォーク」です。
フィルスト山頂駅周辺の断崖絶壁を囲むように設置されていて、崖の先端に突き出す展望台からは、言葉を失うほどの圧巻のパノラマが広がります。
もうひとつ、フィルストでおすすめのアクティビティが、ヨーロッパ初の「フィルスト・フライヤー」です。
フィルスト山上駅から、ワイヤーを滑車付きのブランコで滑り降りるジップラインのことで、約800mの空中飛行が体験できます。
澄み渡る空気のなか、時速約84㎞で滑り降りる爽快感は抜群! きっとハイジがいたら、大喜びで体験していたことでしょう。
ほかにもこの8月に完成したばかりのグライダー式のジップライン、フィルスト・グライダーやマウンテン・カート、トロッティバイクなどのアクティビティがあり、これまでとはちょっと違う、新しいアルプス観光が楽しめるようになっています。
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アルプスの山々に抱かれた、限りなく美しいハイジの世界を求めてスイスへ。家族と、仲間と、アルプスの大自然のなかで、忘れられない思い出を作ってみてはいかがでしょう。
◎取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。
◎撮影/竹崎恵子
◎取材協力/
ユングフラウ鉄道グループ http://www.jungfrau.ch/
スイス政府観光局 http://www.myswiss.jp/