年間約2000万人の観光客が訪れる日本屈指の観光地、箱根。首都圏からのアクセスもよく、お正月には恒例の箱根駅伝が開催され、ご来光に輝く富士の姿や箱根神社への初詣など、この時期もやはり人気の地です。
箱根温泉の開湯は奈良時代。江戸時代には幕府への献上湯となり、明治以降は福沢諭吉や地元有志らにより道路や鉄道が開かれ、観光地として不動の地位を築くようになります。東海道に沿って開湯され、箱根七湯として知られ、その後次々と温泉が開削され、現在は箱根二十湯といわれています。
箱根の温泉の泉質は、無色透明の単純温泉や塩化物泉などの肌にやさしい泉質が多いのですが、もくもくと噴煙を上げる大涌谷周辺には白濁したにごり湯の温泉が湧いています。
標高700mに位置する仙石原温泉は、大涌谷から引湯した温泉で、カルシウムやナトリウムなどの成分が濃厚な乳白色の湯です。よく温まり、疲労回復に効果がありますし、なにより温泉らしいにごり湯というのが気分を盛り上げてくれます。
うっすらと雪をかぶる露天風呂で、しみじみと日本のお正月シーズンを過ごしてみるのもいいものです。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。