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実録「青春18きっぷ」で行ける日本縦断列車旅:6日目《只見駅~鶴岡駅》

《6日目》会津川口 8:40~会津若松 10:34

予定時刻通り、会津川口駅前に到着。2階建ての立派な建物である。只見線の中間駅の中で最も大きい駅だが、これは農協と郵便局も同じ建物に入っているせい。

それでも、待合室には売店もありお弁当やお土産・週刊誌などが並んでいる。お菓子や雑誌とともに、地元産が多いのもこの売店の特徴だ。

只見線の写真集やカレンダーをと撮ったのは地元のカメラマン。地元産の米で作ったおにぎりやお弁当を作るのは、もちろん地元のおばさん。変わったところでは、地元産の天然炭酸水も売られている。

この駅の事務室には、珍しいものが残っていた。列車の運行を管理する通票(タブレット)閉塞機である。

単線区間での列車衝突を避けるため、その区間を走る列車の運転士が持たされる通行手形が「通票」であり、そして通票がその区間に一つしか発行されないように管理するのが、この閉塞機だ。

只見線はJR線の中でも最後までこのシステムが使われていたが、被災後の2012年9月23日から、電気信号による特殊自動閉塞というシステムに移行した。しかし只見~会津川口は被災しシステム移行ができなかったため、運行休止中の今も閉塞機が残されていると言うわけだ。

今後、被災区間が復旧すれば当然新しいシステムが導入されるので、この閉塞機を使うことはないだろう。使われることはないものの、建前の上ではいまでも「現役」と言う奇妙な現象が起きている。

せっかく残っているのだから、通票閉塞のまま路線の復旧ができないだろうかと夢想させる光景だった。

おにぎりと炭酸水を買い、会津若松行きに乗車する。プラットホームのすぐ横にダム湖がある。空は快晴。水面は美しくホームから飛び込めそうに思えるほど近い。こんな風景は全国でもここだけだろう。

車両は仙台色や会津色と言われる、下半分が緑のツートン、上半分は白というカラーリングで辺りの景色にマッチしている。

只見線には車掌が乗車している。おそらくワンマン化の工事をするより、従来のままの方が安いという計算なのだろうか。

運転席後ろの料金箱は金銭投入口に蓋がされ、使用禁止となっていた。運転士さんによると故障では無いという。

「この車は小牛田から(会津若松に)来たんですよ。おそらく支社ごとの考え方があるんでしょうね。只見線はトンネルが多いから、こんな機械よりドアで仕切って欲しいんだけど、頼んでみたら『もう捨てちゃった』だって。だから、こんななんです」

会津川口を発車した2両編成のディーゼルカー。乗客は5名ほど。列車はダム湖の縁を水面に沿って走る。水鏡になった湖面とそこに写る景色が美しい。

駅舎が建て替えられたり道路が広がったりという変化はあるが景色は昔と殆ど変わらないが、車窓に見せる表情は毎回ちがうのも只見線の楽しさだ。

晴れているおかげで、山の緑や水面がいっそう美しく、窓から入る風は絶品である。

只見線は日本有数の美景路線だが、乗客は相変わらず少ない。

この線は元々、水源開発のために作られたという側面がある。戦時中から戦後の経済復興期にかけて、産業のコメとなった電力確保するために只見川流域にダムが造られた。その労働力や資材の運搬に使われた鉄道である。

ダムが完成して電力が都会に流れるようになると、住人も都会に流れてしまいいまのような過疎の集落になってしまった。

福島は海岸沿いの浜通りは原発で、山間の会津地域は水力で都会に電力を供給している。ダムを造った只見線が、ダムの放流により廃線の危機に立つほどの被害を受けたというのも、余りに皮肉な話である。

会津川口のダム湖を造った上田ダム、只見川を斜めに渡る第四只見川橋梁、会津川口同様、ダム湖の水面を見下ろす早戸をすぎ有人駅の会津宮下に到着した。ここで下り列車と交換のため約5分の停車する。この時間を利用して駅前へ出てみた。

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