《6日目》会津若松 11:02 ~ 新潟 13:39

会津若松から新潟へは、磐越西線の快速『あがの』で行く。発車までしばらく時間があるので、改札口を出て売店へ。

さすがに観光地だけあって、名産や名物が大量に並ぶが、目当ては一つ。米粉をふんわり焼いて醤油をさっと塗った「たまりせんべい」だ。素朴な味わいがたまらない名品だ。

しばしの旅の友を得て、ホームに戻る。

今度の車両はキハ110とキハE120の2両編成。キハE120は新潟地区に8両だけいるとい希少種である。2008年に登場した比較的新しい車両だが、両数が少ないため乗る機会は限られている。

快速「あがの」は、毎日この車両で運行されている。

会津若松から喜多方までは会津盆地を快走する。車内はトレッキング姿の乗客でいっぱい。運転台のメーターをのぞいてみると時速95km。田園風景の中を特急列車並みのスピードで駆け抜けた。

喜多方でトレッキングスタイルの乗客を降ろした後は越後山脈の北辺を走る。とは言え、阿賀野川に沿って下るのが主なので、いっそう軽やかに走り出す。

荻野駅は「化石の里」だ。1980年、この地でカイギュウの化石が見つかったことに端を発し、荻野駅は化石の里をアピールしている。不思議な光景だが、この絵が無ければ関心を持つことも無かったろうから、これはこれで正しい町おこしなのだ。

車内で、北関東から旅のご夫婦と一緒になる。お話ししていると、鉄道とは関係ないところで共通の知り合いがいた。おかげでその話に花が咲き、時間も列車もいっそう早く進んでいった。

 

快速「あがの」は快速の言葉通り、途中の小駅を通過してゆく。乗り心地は良いし、早さも快適だが、固定された窓はモニターの映像みたい。それに話が盛り上がったから、過ぎてゆくのの早いこと。

さっきまで乗車していた只見線の速度や車両が、沿線の景色をゆるゆる楽しませてくれたから、そのギャップもあるんだろうな。

列車が進むにつれて阿賀野川は大きくゆったり流れるようになる。徐々に広がる越後平野の景色を眺めながら新津に到着、後は平らな大地を突き進んで新潟に到着だ。

《6日目》新潟 13:43~村上 15:04

到着した新潟駅は現在高架の工事中で、なんとなくざわついていた。ここで村上行きの電車にのりかえる。


やってきたのは昨日と同じE-129系。揺れも少なく静かな車両だけれど、田園地帯を走る山手線みたい。通勤電車に乗るような気分で、田園を軽快に駆け走る。

こういう列車の楽しみ方はどうすればいいのだろうか。早いだけなら特急の方がありがたいなぁ。

鈍行列車に5日も乗り続けると、どうやら速い列車より、遅い列車の方が体に馴染むようになってきたのかもしれない。

そして電車は、村上駅に到着。JR直流電車の北限の駅。そして茶畑の北限でもある。と、いってもこの二つになにか関係があるわけじゃない。

村上はもう一つ、鮭遡上の南限というのもキャッチフレーズにしてきた。近年は孵化センターなどの増加で、遡上の南限はもっと南に下がっている。だが、村上の人たちがここを南限というには、歴史的な理由と裏付けがある。

江戸時代に地元の侍が鮭の回帰性を発見して以来、この町では川の整備や鮭の増殖に努めてきた。その甲斐あって村上の鮭は質量ともに高いブランドとなり町の経済を支えてきたのである。周辺の河川にも例を見ない数の遡上を見ていただけに、鮭の遡上を誇るのは無理も無いことなのだ。

プラットホームの屋根からは、ぬいぐるみの鮭がぶら下がり乗客を迎えてくれる。

小一時間ほどの乗り換え時間に駅前を散歩する。観光案内所にも鮭のぬいぐるみ、町の観光施設は「イヨボヤ(鮭)会館」。鮭が町に欠かせない存在なのだと実感する。

ホームに戻って、鶴岡へと向かう電車に乗り込んだ。

>>次のページへ続きます。

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