日本列島が桜色に包まれる季節がやってきました。ちょっと違ったお花見に出かけようかと思いを巡らせていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。桜の追っかけをライフワークとしている女性トラベルライター「旅恋」の関屋がおすすめする、今すぐ出かけたい絶景桜名所の3回目です。
箱根・芦ノ湖の湖畔にオオシマザクラの一本桜が佇んでいます。この桜は、水族館やホテル、レストランなどを備えたレジャーランド「箱根園」の一角にあります。私の大好きな桜のひとつで、美しい半球形の気高い姿を見せ、4月中旬~下旬が見頃となります。箱根園のバス停から湖畔へ向かっていくと、白色一重のやや大きい花を枝いっぱいにつけて咲く姿が目に飛び込んできます。樹齢は80年を越え、幹周りは約5m、枝張りは22mにもなります。箱根園は昭和30年の開業ですが、そのときすでにこの桜があったという説と、伊豆大島から移植したとする説などがあり、はっきりとわからないそうです。桜は湖上からも楽しむことができ、清涼感に満ち溢れます。
オオシマザクラは文字通り伊豆大島に多く生育し、芳香のある葉は塩漬けにして桜餅に利用されます。そして変異性に富む花の特徴から、現在数多くある園芸品種の桜を生み出しているのです。オオシマザクラとエドヒガンの交配種である染井吉野をはじめ、一葉や普賢象、御車返し、芳香の強い駿河台匂など、さまざまな桜の親になっています。ですからオオシマザクラがなければこれほど多くの桜を楽しむことはできなかったのです。