宮城県北部に位置する鳴子(なるこ)温泉郷。陸奥の古湯として知られ、源義経や松尾芭蕉に因む名所、旧跡などが多く残されています。
温泉郷は鳴子・東鳴子・川渡(かわたび)・中山平・鬼首(おにこうべ)の5つの温泉地からなります。源泉数は約400本、多くの宿が自家源泉をもち、様々な泉質があるのが特徴です。「湯めぐりチケット」も用意され、気軽に温泉のはしごが楽しめます。
温泉郷の中心地である鳴子温泉には2つの共同浴場があり、温泉神社の下に位置する「滝の湯」は総ヒバ造りの懐かしい雰囲気。木樋から流れ落ちる源泉は皮膚病や高血圧に効能があると言います。周辺には深さ100mに及ぶ大峡谷の鳴子峡があり、10月下旬~11月上旬には絶景の紅葉が楽しめます。
お土産には全国的に知られる鳴子の伝統こけしはいかがでしょう。胴がくびれた独特の姿と、素朴で可憐な童のような表情が古くから愛されています。首を回すとキュッキュッと音が鳴るのも鳴子こけしならでは。最近ではロシアの民芸品・マトリョーシカに絵付けをした「鳴子縁起マトリョーシカ」が人気です。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。