群馬県にある法師温泉・長寿館。その名を聞いてもピンと来なくても、国鉄のフルムーンのポスターの舞台になった温泉といえば、思い出す方も多いのではないでしょうか。
大浴場「法師乃湯」は建築されてから1世紀以上の時を刻んでいます。高い天井に渡された太い梁やアーチ形の窓が印象的な温泉は和洋折衷のスタイルで、国の有形登録文化財となっています。
浴槽は4つに分けられ、それぞれ温度が異なります。無色透明の温泉は浴槽の下に敷き詰められた玉石の間から湧き出し、なめらかに肌を潤してくれます。泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉。静かに身をゆだねれば100年以上続く湯の温もりが伝わってくるようです。基本は混浴ですが夜8時~10時に女性専用の時間が設けられています。
宿には法師乃湯とは趣が異なる内湯や野天風呂もあり、湯巡りも楽しめます。また館内玄関のそばには囲炉裏が設えられ、暖を取りながら客同士が仲良くなるという、素敵な触れ合いの場もあり、上州の冬の一日が楽しめます(写真提供/ビジュアルぐんま)。
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取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。