新潟県北東部、阿賀野市にある村杉温泉は、677年の歴史を誇る放射能泉(ラジウム泉)です。山梨の増富温泉、鳥取の三朝温泉と並ぶ三大ラジウム泉で、婦人病に効果があることから“子宝の湯”ともいわれています。
「放射能泉」というと過敏に反応してしまう方もいるかもしれませんが、天然のラドンは極微量です。ラジウム泉は温泉水のなかに気体のラドンが含まれ、皮膚から取り込んだり、呼吸器から吸い込むことで、体の免疫力向上に効果があると考えられていて、古くから万能の湯として親しまれています。
源泉の温度は26度、飲泉も可能で、無味無臭の美味しい水という印象です。
村杉温泉には薬師の湯という共同浴場と、8軒の宿があります。広い庭園露天風呂などを有するところもあり、存分に温泉の効能を確かめることができます。
米どころ・新潟の美味しい炊き立てのコシヒカリと、山の幸、海の幸が楽しめ、のんびり休養するにふさわしい温泉です。
温泉地から車で10分ほどの場所には瓢湖があり、10月の中旬から3月初旬まで、シベリアから渡来する白鳥の姿を見ることができます。その数6000羽以上、圧巻の白鳥の湖です(写真は長生館の露天風呂)。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。