02_鹿の湯内観

温度の異なる6つの浴槽が並ぶ「鹿の湯」。古き良き湯治場の趣が漂う。

栃木県北部にある那須湯本温泉は那須岳の火山活動で生まれた那須温泉郷のひとつです。その元湯が鹿の湯。松尾芭蕉も「おくのほそ道」道中で立ち寄り、強い硫黄泉の湯に驚きました。

鹿の湯は昔ながらの共同浴場の佇まいで、温泉は強い酸性の硫黄泉。あたり一面に硫黄の香りが充満しています。長湯は禁物の成分の強い湯で、湯あたりしないように柄杓で後頭部にかぶり湯をしてからの入浴をすすめています。

浴場は6つに区切られ、それぞれが41、42、43、46、48度と温度が異なります(女湯は5種類)。地元の方は涼しげな顔をして、熱い湯に入っていますが、まずは41度あたりから、そろそろ入るのが無難です。体への負担も大きい高濃度の湯ですので、3分ほど入り、出て休むを繰り返しましょう。

鹿の湯の近くには殺生石(せっしょうせき)や温泉神社があります。殺生石は硫化水素ガスが立ち込める地獄で、九尾の狐が死んだのちも毒石となって、生けるものを殺したという伝説を持つ巨石です。河原の一角には「石の香や夏草赤く露あつし」の芭蕉句碑が立っています。

03_鹿の湯外観

取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。

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