ブルガリアと聞くと、私たち日本人はつい「ヨーグルト」を連想してしまうかもしれない。しかし実際のブルガリアは想像以上に深い伝統と広がりを備えた魅力的な国だ。
東に黒海を望む、東南ヨーロッパの小さな国。北にはドナウ川が流れ、南はトルコとギリシャ、西はセルビアと マケドニアに隣接する。14世紀後半からおよそ500年間にわたってオスマン朝に支配されていたため、現在もトルコ系住民が多いことが特徴。そのため教会とイスラム寺院が共存し、独特の文化を形成しているのである。
注目される機会こそ少ないものの、小さな村々では、その地ならではの魅力に触れることができる。そこで今回はワールド航空サービス東京支店の中欧担当・山口さんに、ブルガリアの知られざる美しい村をご紹介いただいた。
■1:リラ
ブルガリア西部のリラは、深い山々に囲まれた村。リラの僧院はブルガリア正教会の総本山であり、リラ修道院はブルガリア最大の正統派修道院として知られる。中世ブルガリア文化が形成した高い芸術性も魅力で、壁一面の鮮やかな壁画はとても有名。1983年には世界遺産として登録されてもいる。
さまざまな文化が入り混じって生まれた、ブルガリアらしい独特な雰囲気を味わうことができるのだ。
「オスマントルコ支配下でも、
■2:ベリコ・タルノボ
ブルガリアでいちばん美しい街といわれているのが、北東部に位置する古都ベリコ・タルノボ。人口8万人程度の小さな町だが、「第三のローマ」ともいわれた第二次ブルガリア帝国の首都。政治、経済、ブルガリア正教、そして文化の中心地として栄えた。
こじんまりとした旧市街は、時が止まったかのように穏やかな雰囲気なので散策に最適。またツァラベツの丘からは、ヤントラ川の谷にびっしりと住宅が並ぶ光景を望むことができる。素朴な味わいのある、地味ながらも魅力的な村だ。
「職人通りに今も残る、700年前の薫り。刃物や銅器、
■3:コプリフシュティツァ
ブルガリアを東西に走るバルカン山脈の山中に、コプリフシュティツァはある。「ヨーロッパの美しい村30選」に選ばれただけあり、見どころ満載。18〜19世紀に建てられた豪商の邸宅が保存されており、ブルガリア初の美術館都市を宣言してもいる。
一般的なツアーでは外されてしまうような小さな村ながら、村全体が博物館だといわれるほど、深い歴史を感じさせてくれるのだ。
「民族復興様式とバロック様式が融合した独特の木造建築が並ぶ様子
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以上、ブルガリアを旅するならぜひとも訪れたい3つの村をご紹介した。日本と同様に四季のあるブルガリアのベストシーズンは春から秋にかけて。訪れてみるなら、これからが最適だというわけだ。
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文/印南敦史
写真提供/ワールド航空サービス