湯の郷には旨いものがある。自然の豊かな場所に古くから人が住み着き、山海の食材を用い、独自の食文化を形成してきたからだ。こんこんと湧く湯で体を休め、冬の美味を堪能したい。
三国港水揚げの極上越前がにと貸切檜風呂の温泉を満喫する
みくに隠居処
冬の味覚の王様といえば、なんといっても蟹だろう。海に囲まれた日本では、各地で様々な蟹が水揚げされるが、特に冬の日本海で獲れるズワイガニ、その中でも福井県の漁港に水揚げされる雄のズワイガニは「越前がに」として珍重される。
高級食材として知られる越前がにだが、三国港のタグのついたものとなるとさらに一線を画す扱いになる。というのも、日本で唯一、皇室に献上されている蟹が三国港水揚げの越前がになのだ。
三国港が位置するのは東尋坊三国温泉という温泉郷。源泉かけ流しの宿『みくに隠居処』では、11月~3月の越前がにの漁期になると、三国港水揚げの越前がにを使った様々な料理を提供している。蟹前菜に始まり、茶碗蒸し、蕎麦、刺身、茹で蟹、焼き蟹、蟹味噌しゃぶしゃぶは、越前がにの旨さを存分に味わえる料理だ。事前に申し込めば、1.1kgの皇室献上蟹や1.3kgの越前がにで最高峰「極」も用意してくれる。
宿は1日ひと組限定の貸切式。誰にも気兼ねすることなく、身内だけでゆったりとした温泉と越前がに三昧を堪能することができる。
みくに隠居処
福井県坂井市三国町宿3-7-22
電話:0776・82・8558
料金:1日ひと組全3室貸切6名まで4万4620円~(税・サ・入湯税込み・※貸切1名での料金。人数や蟹の大きさで料金は変わる。)
チェックイン15時、同アウト10時
泉質:ナトリウム-カルシウム塩化物
交通:えちぜん鉄道三国港駅より徒歩約8分
取材・文/平松温子 撮影/安田仁志
※この記事は『サライ』本誌2023年12月号より転載しました。