湯の郷には旨いものがある。自然の豊かな場所に古くから人が住み着き、山海の食材を用い、独自の食文化を形成してきたからだ。こんこんと湧く湯で体を休め、冬の美味を堪能したい。

丹後半島で水揚げされる最上級の伊根鰤を味わう
油屋別館 和亭

『油屋別館 和亭』の伊根鰤会席の一例。手前から伊根鰤刺身、しゃぶしゃぶ、照り焼き、鰤茶漬けなど。ブリしゃぶ発祥の宿でいただく伊根鰤しゃぶしゃぶは臭みがなく、寒ブリの脂が口に広がる極上の冬の味覚だ。

伊根町は京都府北部の丹後半島に位置し、海際に舟屋と呼ばれる建造物が立ち並ぶ風光明媚な景観から、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれている。

海に面した舟屋の連なる景観で知られる伊根。凪いだ内海に守られた伊根は、江戸時代から鰤漁で栄えた漁師町だ。

江戸時代、寒ブリといえば丹後半島で水揚げされる鰤がひときわもてはやされた。江戸前期の医者・人見必大は、著書『本朝食鑑』の中で「今以丹後之産為上品(いまたんごのさんをもってじょうひうんとなす)」と記しており、他の産地より上質であると讃えている。特に伊根で水揚げされるものは、伊根鰤と称され、珍重された。

伊根の漁港で水揚げされる寒ブリのセリ。脂ののった寒ブリは8~10kgにもなる。
写真提供/伊根町観光協会

晩秋、水温の低下とともに日本海を南下する鰤は、丹後半島周辺に到着する頃には上質な脂がのりきった寒ブリに成長する。

湯宿『油屋別館 和亭(なごみてい)』では、この伊根鰤を使用した寒ブリ尽くし会席を供している。主役の伊根鰤しゃぶしゃぶは、熱した出汁にさっと薄切りの鰤をくぐらせ、霜降りのようになったところを引き上げて、ポン酢でいただく。身の表面をさっと加熱することで旨味を閉じ込め、香りと食感はぐっと引き立つ贅沢な食べ方だ。

全客室に源泉かけ流しの露天風呂を据える。源泉に、寒ブリにと、冬ならではの「海の京都」を満喫することができる。

全11室ある客室にすべて源泉かけ流しの露天風呂を備える。とろりとぬめり気のあるナトリウム︲炭酸水素泉で湯量も豊富だ。

油屋別館 和亭

舟屋の並ぶ伊根湾から少し離れたところにある奥伊根の温泉宿。

京都府与謝郡伊根町字津母570
電話:0772・32・0306
料金:2名利用で1泊2食付き4万5100円~(税・サ・入湯税込み)
チェックイン15時、同アウト10時
泉質:ナトリウム-炭酸水素塩泉
交通:京丹後鉄道天橋立駅より車で約50分(同駅より丹海バスで伊根バス停下車、15時以降なら送迎バスあり。要事前予約で14時40分天橋立駅発・翌朝10時宿発で天橋立駅までの送迎バスあり)

取材・文/平松温子 撮影/安田仁志

※この記事は『サライ』本誌2023年12月号より転載しました。

『サライ』12月号特別付録は『2024年日本美術“吉祥”「辰年」カレンダー』

 


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