今、世界中の人が注視しているのは、ロシアが軍事侵攻したウクライナ情勢ではないでしょうか。
日本には、ウクライナの首都・キエフ(Kyiv/英Kiev)と深い繋がりを持つ都市があります。それは、歴史都市・京都市です。キエフと京都市は、51年前から姉妹都市として交流してきました。京都市はウクライナへの連帯と平和への願いを示すため、2022年3月2日、京都市役所前の広場にあるキエフから贈られた大理石の「キエフ友好記念碑」の前に献花台を設置しました。
ウクライナの首都・キエフと京都市がどういう経緯で友好都市になったかを知ることで、ウクライナに関心を持ち、今悲惨な状況にあるウクライナ国民の気持ちに寄り添うことができると思います。
キエフと京都市の姉妹都市の歴史的な経緯
日本国内でキエフと姉妹都市関係にあるのは、唯一京都市のみです。両市ともに古都として1400年近い歴史を持つ、観光都市。そんなキエフと京都市は、昭和46年(1971)に姉妹都市になりました。バレエや音楽の公演を通じて文化交流をし、親交を深めてきたといいます。キエフの中心部には、日本庭園を持つ「京都公園」があるそうです。
芸術の都・キエフはどんな街?
ここで、キエフについて簡単にご紹介させていただきます。キエフは、ドニエプル川の中流に位置するウクライナの首都です。人口はおよそ280万人、面積は827㎢。起源は6世紀にさかのぼり、キエフ公国の都市として最古の歴史を持っています。「森の都」と呼ばれるほど、緑が多く緑地が市面積の65%を占めているそうです。多くの史跡に富む古都でもあり、聖ソフィア大聖堂(現在、建築博物館)や参詣者の多いペチェルスカヤ大修道院などの名所もあり、バレエ、音楽などが盛んな芸術の都でもあります。
キエフは、ウクライナ屈指の工業都市でもあります。特に、精密機械や複雑な工程を要する機械工業に特色があり、ゴーリキー記念オートメーション工作機工場をはじめ、小型カメラ、理化学・医学機器、航空機、造船などの工場を有します。
また、市内には教育・文化施設も多く、国立総合大学、科学アカデミーなどのほか、タラス・シェフチェンコ記念館、歴史博物館、映画撮影所などもあります。
キエフと京都市の姉妹都市の歴史
京都市によると、昭和33年(1958)に京都を訪問した駐日ソ連大使が、京都市を訪問した際、姉妹都市提携を提案したそうです。その翌年、キエフ市長から手紙で正式に申し込みがあり、約10年間親善交流が行われ、昭和46年(1971)当時の京都市長がキエフを訪問し、姉妹都市結成宣言がなされました。
それ以降、両市は親交を温めてきました。提携30周年を迎えた平成13年(2001)8月には京都市民を中心とした文化使節団がキエフを訪問。翌9月には、キエフより「ウクライナ民族音楽団」と京都市民による合同コンサートが開催されました。その時、キエフから「友好記念碑」が贈られています。
令和3年(2021)には提携50周年を記念し、キエフのシンボルであるセイヨウトチノキが左京区にある宝が池公園「子どもの楽園」に植樹されました。
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心が締め付けられるようなウクライナの状況が毎日、報道を通して、伝わってきます。ウクライナで暮らす人々が、1日も早く安心して過ごせるよう願うばかりです。
※京都市は市役所や区役所など73か所に募金箱を設置。この他、専用の口座も作り、ウクライナを支援するための寄付金を集める活動も始めています。募金箱や口座は2021年3月31日まで設けられ、集まった寄付金はキエフに直接送られるとのことです。
(口座振り込み)
三菱UFJ銀行 京都支店 普通3885405「京都・キエフ姉妹都市提携50周年記念事業 実行委員会 委員長 西松卓哉」
文・写真/京都メディアライン(HP:http://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/)
参考WEBサイト/
京都市ホームページ(https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000295224.html)
参考図書/
『⽇本⼤百科全書』(⼩学館)