最近、ゆっくりとした時間を過ごされたことはありますか? 1日は慌ただしく過ぎ、気付けばあっという間に夜になっていたということもあるのではないでしょうか。また、リフレッシュのために旅行へ出かけたのに、かえって疲れるということもよくあることです。
今回の「京都のホテル満喫紀行」では、宿に滞在する21時間を42時間にも63時間に感じられるのんびりとした過ごし方」をご提案します。訪ねるのは京都・嵐山に佇む『星のや京都』です。
かつて京都の嵐山は、平安貴族の別荘地として栄えた場所でした。『星のや京都』は、1000年の歴史が紡がれるこの地で “圧倒的非日常” とも言える時間を届けてくれます。宿泊客は小船に乗船し、宿へと向かいます。京都を代表する観光地としても有名な渡月橋(とげつきょう)を渡り切ったところの小さな桟橋から出立するのです。
平安貴族たちが興じた船遊びにも思いを馳せながら、川の流れとともに非日常の旅へといざなわれてゆきます。小船に揺られ、大堰川(おおいがわ)をさかのぼること15分ほど。峡谷に沿うように建つ宿、『星のや京都』が現れます。宿泊者のみが入ることのできる“水辺の私邸”です。かつて江戸時代の豪商・角倉了以(すみのくらりょうい)が別邸を構えた由緒ある場所でもあります。
目の前に広がる緑は自然の森のようにも見えますが、実は人の手によって造作されたもの。人の美意識が映された世界なのです。京都に息づく日本の伝統的な技法を用いながら、斬新な発想の生きるもてなしの空間が、私たちを迎え入れてくれます。
京都の職人の技術で蘇る、日本家屋の美しさ
今回滞在した部屋は、特別室「月橋メゾネット」。部屋の玄関前には、手水鉢のある坪庭が設えられており、和の風情を感じます。室内は、1階に和室と浴室、2階に書斎と寝室という構成。1階の和室の床の間には、季節の花が活けられており、日本家屋ならではの趣のある空間の魅力にあらためて気付かされるようです。
客室の数寄屋造風の部屋には、今ではもう手に入らない“材”を使用。室内の柱や天井、組み木の壁など、京都の職人の繊細な「洗い」の技術が施され、家具は和風でありながら現代的な感覚が取り入れられています。
2階の書斎の窓の眼下には、大堰川を望む大自然の借景が広がります。季節の虫の声や対岸を走る嵯峨野トロッコ列車が走る音が心地よく響き、四季折々の自然美に彩られる空間です。
大きなソファで寛ぎながら、パブリックスペースにある「ライブラリーラウンジ」で本を借りてきて、読書にふけるのも一興です。
パブリックスペースのデッキには、大堰川にせり出すように作られた「空中茶室」があります。風を感じながらの野点体験がおすすめです。心静かに自分で点てていただくお茶の味は、格別なものになるのではないでしょうか。京都らしく優雅な時間が過ごせます。
瓦で砂紋を表現、苔が美しい「枯山水の庭」
『星のや京都』の作庭を担っているのは、南禅寺や名勝無鄰菴などを管理している植彌加藤造園(うえやかとうぞうえん)。庭師の井上靖智(やすとも)さんは、「景色を作るのが我々の仕事。10年後、20年後、その木がどのような景色を作るのかを考えて手入れをしています」と話します。
『星のや京都』の庭は、枯山水の庭の特徴である「砂紋」を瓦で表現しています。通常、枯山水の庭は砂利の「砂紋」の上を歩くことはできませんが、この庭は瓦なので中に入って鑑賞することが可能です。
旬の日本料理との一期一会、「星のや京都ダイニング」
『星のや京都』に宿泊するのであれば、夕食は「星のや京都ダイニング」で食すことをおすすめします。旬の食材を生かした、枠に囚われない高橋料理長の日本料理を心ゆくまで味わえます。
旬の贅沢な食材をふんだんに使用した、目にも鮮やかで香りも際立つ料理の数々。食材の組み合わせも一期一会の新鮮な驚きと味わい、香りの豊さで滋味あふれる一品を楽しむことができます。
静けさに包まれた、上質な一夜を
『星のや京都』の夜は、静けさの中で深まります。テレビのない静かな空間で聴こえる虫の声や川の水音は心地よく、心や頭を休めるにも最適です。菊の花が浮かべられたお風呂に身をゆだねると、身も心もときほぐされます。
ベッドルームでは自分好みで取り合わせた枕香の香りに包まれて深い眠りの世界へ。翌朝の目覚めもすっきりと迎えることができます。
新しい朝のはじまりは、あたたかな旬の力を取り入れて
朝は季節の食材がふんだんに取り入れられた「朝鍋朝食」で、健康的な1日がはじまります。旬の食材のみずみずしさに、心も身も満たされることを実感。贅沢な朝食が宿を発つ前の活力を湧かせてくれることでしょう。
千年の都が育んできた洗練された京都に佇む、『星のや京都』。一刻一刻を丁寧に楽しむ過ごし方を、ご紹介してきました。滞在時間が2倍にも3倍にも感じられる濃密なひとときをぜひ体感してみてください。
■星のや京都
住所:京都市西京区嵐山元録山町11-2
TEL:0570-073-066(電話予約・9:30〜18:00)
アクセス:
鉄道:阪急嵐山駅より徒歩約10分
自動車:京都南ICより約30分
URL:https://hoshinoya.com/kyoto/
企画/京都メディアライン(https://kyotomedialine.com/)
旅人/石倉美佳
動画撮影/坂本大貴、貝阿彌俊彦・末原美裕(京都メディアライン)
動画編集/鹿嶋みのり(京都メディアライン)
文/奈上水香(京都メディアライン)