四季折々の行事を通して、季節を愛で家族のつながりを深める場となっている、京都商家の「仁風庵」。守り受け継がれることの大切さを垣間見ることのできる、雛祭り会をご紹介しよう。
京都の商家で古式ゆかしい雛祭り会が催される。サライ京都チャンネルで『曾我物語図屏風』を紹介した、仁風庵だ。通常は住居として使用しているため非公開だが、雛祭り会(3月3日・4日、要予約)に限り邸宅内で、伝統的な雛祭りの様子を見ることができる。実際に京都商家の内部の雰囲気を味わうことのできるまたとない機会だ。
京都御所にほど近い閑静な住宅街に佇む日本家屋の仁風庵は、昭和15年に3年の月日をかけて建築されたもてなし用の邸宅。平成19年には国の登録有形文化財となった。所有するのは、大正9年から居を移し京都・室町で繊維関係の商いを営んできた山本仁商店だ。
継承される雛祭りへの思い
山本仁商店代表の山本佳陽子さんは語る。
「仁風庵にある一番大きな雛人形は、6段の稚児雛です。現在88歳の叔母が生まれた時に岐阜の実家から贈られたもので、以来ずっと飾られています。うちは4姉妹なので、女の子が生まれるたびに周りの人形を買い足していったら、随分賑やかになりました。子どもの頃は私たちの友達と、近頃は80代の母が友人たちと集い、雛祭りを祝っています。季節を楽しむ京都らしい雛祭り会を広く知っていただきたいと思い、今回の特別公開を企画しました」
会期中は、山本佳陽子さんや母親の智代さんも顔を出されるので、3世代にわたり、賑やかさを増していった雛飾りについて話を聞くことができる。昔ながらの雛祭りの世界観を、早春の日に体験してみてはいかがだろうか。
仁風庵
住居兼もてなし用の空間として建てられた日本家屋のため、通常非公開。雛祭りに合わせて雛人形と庵を本年より特別公開する。
日付:3月3日(木)・3月4日(金)
時間:1部10時〜12時、2部12時〜15時、3部15時〜17時
要メール予約(kyotojinpuan@gmail.com)
京都市上京区中立売通西洞院西入る三丁町446
交通:地下鉄烏丸線今出川駅より徒歩約12分
料金:2000円 問い合わせ:075・441・7403
京都の隠れた名所を動画で見られる「サライ京都チャンネル」
京都では「これより先はご遠慮ください」という文言を、しばしば見聞きする。サライ京都チャンネルでは、そうした「一見さんお断り」の向こう側にある本来の京都の姿をお見せするとともに、もう一歩奥の京都へと誘う。
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取材・文/末原美裕、貝阿彌俊彦(京都メディアライン) 撮影/小林禎弘