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日本は島国であるとともに、国土の大半が山地であり山国でもある。山地に降った雨は、川となり海へと流れる。
一部の水は地下にしみ込み、やがて伏流水として各地で湧き出す。湧き出た水は、人々の生活を潤し、その地域の文化を育んできた。恵をもたらした湧水は、逸話と共に名水として語り継がれている。そんな名水を求め各地を訪ねます。

古都の名水散策 第6回目は、大阪府と京都府との境に位置する「山崎の戦い」で知られる古戦場周辺を取材地に選んでみました。この地域は、古くは平安時代おいて貴族の別荘地であったと伝えられ、数多くの史跡が点在しています。中でも、今年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公である明智光秀と羽柴秀吉が激闘を繰り広げた場所として富に有名です。
そんな古戦場近くの由緒正しき神社の境内に、まことに“雅な名水“があるというので、「古都の名水散策」にふさわしき水と思いまして取材に行ってまいりました。

「麒麟がくる」ゆかりの地、近くに湧き出す雅な名水

今回ご紹介する名水「離宮の水」は、大阪府と京都府の境に位置する水無瀬神宮(大阪府三島郡島本町)の境内にあります。水無瀬神宮は、京都盆地から大阪平野への出口となる地域にあり、天王山と石清水八幡宮のある男山とに挟まれた地峡部に位置します。その狭いところを、京都盆地から流れ出ている桂川、琵琶湖を源とする宇治川、そして笠置山地を横切って流れる木津川の三川が合流し大河淀川となる地点でもあることから、古より交通の要所として栄え、関所が設けられていた時代もあったようです。そうしたことから、歴史上重要な出来事が起こった場所として、歴史書や映画やドラマなどにもたびたび登場いたします。

特に天王山は、今年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公である明智光秀の軍勢と羽柴秀吉の軍とが激突した「山崎合戦(天王山の戦い)」があった場所として有名です。また、幕末期においては“禁門の変”で尊皇攘夷派の一部が天王山の周辺に布陣して、会津藩、新選組等の幕府軍と戦闘を繰り広げた場所でもあります。

こうした歴史上の出来事により、今でも勝敗や運命の分かれ目を意味する「天下分け目の天王山」という表現が伝わり残っています。歴史ファン、特に戦国武将に造詣の深い方にとっては、一度は訪れてみたい聖地のような場所ではないでしょうか?

因みに「天下分け目の戦い」として、表現される古戦場「天王山」ですが、実際の合戦は、天王山の東側の湿地帯で行われたそうです。秀吉は、山崎の戦い後、大坂城を築城するまでの間、山崎城を本拠地としていたとされています。

その「山崎の戦い」の古戦場跡にほど近いところに、水無瀬神宮は在ります。水無瀬神宮のある島本町水無瀬地区は、平安時代においては貴族の避暑地的な場所であったそうです。
特に、後鳥羽上皇はこの地をこよなく愛し「水無瀬離宮」を造営したことが史跡などに記されています。後鳥羽上皇が詠んだ歌の中にも、如何にこの地を愛していたかを示す和歌が残っておりますのでご紹介いたします。

「見渡せば、山もとかすむ 水無瀬川ゆふべは秋と なにおもひけむ」

後鳥羽上皇が愛でた水無瀬離宮跡に湧く、雅な名水「離宮の水」

後鳥羽上皇は、鎌倉幕府執権の北条義時に対して討伐の兵を挙げるのですが、承久の変(1221年)に敗れた後に、隠岐島へ配流され、同地で崩御(延応元年 1239年)します。後鳥羽上皇の死を悼み、水無瀬離宮の跡に御影堂が建てられたのが、水無瀬神宮のはじまりと伝えられています。
その水無瀬離宮跡の井戸であることから「離宮の水」という名がつけられとのことです。何とも雅なお話しですよね。

この由緒ある水無瀬神宮は、水無瀬川の流れがつくった扇状地の扇端部に位置しており、「離宮の水」の出る井戸は、水無瀬川の作る砂礫層に掘られた深さ10メートル程の浅い井戸から採取されています。「離宮の水」は、かつては神聖な井戸水として、御影堂の昔から神饌(しんせん)だけに用いられていましたが、 茶道の歴史が始まってからは茶の湯としても使用されるようになっております。
「離宮の水」は、大阪府下で唯一環境庁より全国名水百選として選ばれており、水量、水質ともに良好な状態が保たれているそうです。休日には、多くの人が湧水を求め列をなすこともしばしばとか….。

水無瀬神宮には、藤原信実作といわれる国宝の後鳥羽上皇像をはじめ、数多くの絵画・文書類が所蔵されている他、豊臣秀吉が福島正則に造営を命じ寄進した客殿や、後水尾天皇が愛好された茶室は国の重要文化財に指定されています。
水無瀬神宮には、承久の変後に地方へ配流され崩御した、後鳥羽天皇(ごとばてんのう)、土御門天皇(つちみかどてんのう)、順徳天皇(じゅんとくてんのう)を合祀しております。

水無瀬神宮の近くには、NHK 朝の連続ドラマ小説の題材になったこともある日本ウィスキーの発祥“サントリー山崎蒸溜所”もあり、サライ世代にはお勧めの散策地です。この地を訪れれば、古の歴史上の人物に思いを馳せながら、歴史ロマンに浸ることのできる1日が過ごせるのではないでしょうか?

名水を使用した地場産品関連

島本町や商工会が、地域起こしの一環として“離宮の水ブランディング事業”を推進しています。『離宮の水ブランド』認証商品には『離宮の水ブランドロゴマーク』が貼付されています。
現在『離宮の水ブランド』として認証を受けているのは12品目とのことです。商品を掲載したマップが町内の公共施設や駅などで配布されています。味わってみては如何でしょうか?

水無瀬神宮の所在地・アクセス

場 所: 大阪府三島郡島本町
電 車: 阪急電鉄水無瀬駅下車、徒歩15分
自動車: 名神高速山崎ICと高槻ICの中間点、
     国道171号線を少し入った所、水無瀬神社側に駐車場あり

名水に関する行事・活動

平成4年には、離宮の水を維持するために「離宮の水保存会」が発足しています。「離宮の水保存会」は、定期的に水質や水量をチェックをするとともに、採水地周辺の清掃活動なども行なっており水質維持環境が保たれています。

取材・動画・撮影/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
京都メディアライン:https://kyotomedialine.com 
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/

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