ユネスコ無形文化遺産に登録され、世界から注目される「和食」。その食卓に調和する日本酒専用の杯を作るべく、日本料理店「なすび亭」主人・吉岡英尋氏とクリスタルガラスメーカーのカガミクリスタルがコラボ。「和食に溶け込む新たな冷酒杯」をコンセプトに試作を繰り返して、完成に至ったのが、クリスタルガラスに江戸切子を施した、雪・月・花の3種だ。
それぞれに描かれた絵柄にはテーマがある。雪は、貫禄ある「富士の雪化粧」、月は、すすき野原に臨む満月を描いた「中秋の名月」。そして、そよ風の中に咲き出す梅の花をあしらったのが「春の訪れ」を表現した花である。また、富士山に積もる雪、満月、梅の花を磨りガラスにすることで、クリスタルガラスの透明度を際立たせる演出がなされており、脚の台にも雪・すすき・梅の花の各モチーフが入る。さらに3種すべてに施される江戸切子の伝統紋様「菊つなぎ」も職人の腕の見せ所だ。
「菊つなぎ紋様は、江戸切子の中で最もカットが細かくて難しいのです。一点で交わる線が多く、神経を使います」と、切子職場班長の稲川征臣氏。
脚付きのため、手の熱が伝わらずに冷たい酒がじっくりと味わえる。刻まれた日本の情景を眺めつつ、一献傾けたくなる酒器である。
【今日の逸品】
江戸切子の脚付き冷酒杯 雪月花
カガミクリスタル
22,000円(消費税8%込み)