「ガラスの醸し出す儚さにこそ魅力がある」とガラスへの熱い想いを語るのは、廣田硝子代表取締役社長の廣田達朗氏。明治32(1899)年創業よりガラス製品ひと筋に歩んできた同社は機械での大量生産が主流となるなかでも、「人の感性に訴える手になじむ“ぬくもり”ある製品を作りたい」と、手仕事への強いこだわりを貫いている。
本品は、江戸から脈々とその技が受け継がれてきた伝統工芸品「江戸切子」のグラスである。おもしろいのは、グラスに蓋が付いていること。枝豆やナッツなどの酒のつまみを入れたり、単独で小皿としても使える。
江戸切子は、透明なガラスに色の付いたガラスをかぶせ、職人が文様を刻み込んで仕上げるが、このちょこは、日本伝統の七宝文様の中に星形カットを入れ込んだ柄を全面に配したモダンなデザイン。「赤などの暖色は、寒色に比べて安定しにくく、ムラなく色を出すのが難しいのです。柄は伝統と現代の趣向を掛け合わせた、古き良き伝統の中に新しさを感じられる特別な意匠としました」と廣田氏。
眩い赤の輝きは、酒の席と時間を華やかに演出してくれる。
【今日の逸品】
江戸切子 蓋ちょこ
廣田硝子
21,600円(消費税8%込み)