京都の春は、花見好きには堪えられない季節。
洛中洛外至る所に多彩な樹種がほころび、約1か月半にわたって桜花を堪能できる。
平安神宮、仁和寺、哲学の道、醍醐寺など花の名所は枚挙に暇がない。

今回紹介するのは、数ある名所の中でも樹種の多様さと本数で他所を圧倒する平野神社(京都市北区)。
桜の種類は約60種、計約400本にも上り、「桜ノ宮」の別称で呼ばれる。
3月中旬になると開花する「魁」は枝垂れ桜の一種で、この花が咲くと京都の花見の幕開けとも言われる。

ほかにも珍しい「寝覚」「胡蝶」「手弱女」など、風流な名を持つ桜が境内を埋める。それぞれの名の謂れを調べながら歩くのも一興だろう。

この神社の桜の歴史は平安中期、その名も花山天皇が境内に桜を植えたことに始まるという。観桜の歴史は平安時代からと言われ、奈良時代までは花見といえば梅であった。平野神社は、わが国の観桜の黎明期から桜とともにあったのだ。

4-3平野神社には桜のお守りが多数あり、ご利益も様々だ(写真/蛭子 真)。

 

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