猫にも「別腹」がある!?　注意すべき愛猫へのご飯の与え方【猫のふしぎ第４回】

■注意すべきおやつの与え方～猫にも「別腹」がある

猫はそもそも、満腹と感じるシステムが人間とはずいぶん異なります。人間はお腹いっぱい食べると胃が張ったようになり、「ああ、満腹」と思います。しかし、猫の場合は胃の状態により満腹を感じるわけではありません。

猫などの肉食動物の場合、活動するための栄養源を感知し、インスリンを出す肝臓のグルコースレセプターが「猫さん、君はもう満腹ですよ」と体の中から知らせてくれます。グルコースは肉などのタンパク質由来で、消化器系でゆっくりと数値が上がります。すぐに数値が上がる炭水化物を主食としている人間とは、根本的に体内に取り込んだグルコースを感知する構造が異なります。要するに、満腹と感じるまでの伝達回路が、人間と猫とでは違うのです。

人間には「感覚特異性満腹感」といって、いろいろなものを食べたいがために、ひとつの味のものを食べていて満腹と感じたのに、別の味のものなら食べたくなるという現象が起こります。いわゆる「別腹」です。

猫にも人間同様、「別腹」があります。猫も普段あまり食べたことがないけれど、見るからにおいしそうなものを目にすると、お腹が空いていなくてもつい「別腹」で食べたくなってしまいます。カリカリのフードばかり食べている猫に、たまにウェットフードを与えると、さっき食べたばかりなのに大喜びで飛びつく、といった具合です。

「食べたい」と思うのは、脳の前頭葉がそう命じているから。前頭葉は、味覚や視覚、聴覚、臭覚など、様々な情報を司る神経活動の最高司令官です。いわば本能で、「食べたい」という気持ちになるわけです。

脳はいろいろなことを記憶していて、目や耳、鼻で得た情報から、「あの食べ物はいつもの食事とちょっと違うけど、絶対おいしいはず！」と判断し、「食べたい！」と思わせてしまうのです。

ですから、食欲は、生理学的要因と、学習要因のふたつによってコントロールされているといえるでしょう。でも、以前にも書きましたが、猫にプチ贅沢をさせてあげたいとか、おやつを喜ぶからといって過剰に与えるのではなく、ほどほどでお願いしますね。食事管理、その延長の体調管理は、飼い主さんの大事な役目です。フードの袋などに目安が記されていますので、それぞれの猫の体重や年齢に適した内容や量のごはんをあげるようにしましょう。