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【ひと皿の歳時記~第125回】

京都・祇園の板前割烹『浜作』の桜鱒の焼き物

桜鱒と蕗の薹。

桜鱒と蕗の薹。春の訪れを満喫できるひと皿。

 

桜が見頃を迎える3月、京都の料亭や割烹で決まって使われる食材を挙げるとすれば、鯛と蛤(はまぐり)と筍(たけのこ)でしょうか? どれもこの時季に美味しい素材です。鯛はもちろんお造り(刺身)に、蛤はお吸い物に、筍はそのまま焼いたり、茹で上げた筍を若布と組み合わせて「若竹椀」に仕立てたりします。

川端康成や谷崎潤一郎など文豪も贔屓(ひいき)にした京都で評判の高い板前割烹『浜作』では、お造りをはじめ、すべての料理がお客様の目の前で初めから調理します。その包丁さばきの見事なこと、所作の美しいことといったらありません。こうした料理人の技をカウンター越しに堪能できるのも板前割烹の大きな魅力といえます。

調理されている段階から、すでに「美味しさ」が漂い始めている感じです。例えば、当たり鉢で木の芽味噌を作り始めると、木の芽の香りが立ち昇ってきます。その香りを嗅ぐだけで「ああ、春がやってきた!」と思うわけです。この香りは10分もすると失せてしまいますから、味わう前から食材の香りを楽しむことができるのは板前割烹ならではの妙味と言えましょうか。

今回は「春分の日」あたりに伺いました。鯛のお造り、蛤のお吸い物、筍は木の芽味噌に和えて出てきました。その後、登場したのが、桜鱒の焼き物です。わずかに白味噌に漬けこんでおいた桜鱒を丁寧に焼き上げたもので、蕗の薹(ふきのとう)が添えられていました。

桜鱒のはんなりとした美味しさに、蕗の薹の苦みがアクセントを添えています。3月といえども、器の中は春爛漫といった風情です。

若狭かれいの油物。

丁寧に揚げられた若狭かれい。これからますます味がのってくる。

 

続いて出てきたのは、若狭かれいの油物。一夜干しにされたかれいが、綺麗に揚げられています。私は頭から骨ごといただき、かれいを成仏させました。かれいはこれからますます美味しくなってゆく夏場の白身の王様で、5月にまた京都へ用事があるので、このかれいをいただきに『浜作』に出かけたいと思っています。

 

【浜作】
住所 /京都市東山区祇園八坂鳥居前下ル 下河原町498
電話/075-561-0330、075-561-1693
営業時間/昼:第1・第2火・木・土曜日を除く12:00~14:00、夜:18:00~(要予約)
定休日/水曜日、毎月最終火曜日

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