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ラストネームがファーストネームに? 海外でも日本式に「姓」が最初で起こる混乱とは【世界が変わる異文化理解レッスン 基礎編17】

文/晏生莉衣
ラストネームがファーストネームに? 「海外でも日本式に『姓』が最初」で起こる混乱とは【世界が変わる異文化理解レッスン 基礎編17】ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックと、世界中から多くの外国人が日本を訪れる機会が続きます。楽しく有意義な国際交流が行われるよう願いを込めて、英語のトピックスや国際教養のエッセンスを紹介します。

* * *

前々回前回と取り上げてきた、日本人のローマ字表記を従来の「名→姓」から「姓→名」の順に変更することの是非。一部の閣僚が発表したこの方針は、誰にどんな影響を及ぼすのでしょうか? 今回も引き続き、考えてみましょう。

この変更の発表を聞いて、海外で長く生活してきた自分がまず思ったのは、海外在住の日本人たちが受ける影響についてはどう配慮されるのだろう、ということでした。

どれだけの日本人が海外で生活しているのかというと、外務省の最新統計によれば、2017年の海外在留邦人の総数は135万1970人。その内訳を年齢別でみると、20歳未満が一番多く約22%、40代が約21%、30代が約18%、60歳以上が約14%、50代が約13%、20代が約12%の順となっています。20歳未満が一番多いのは、30~40代の親の海外転勤にともなって、子どもも連れて家族いっしょに海外に引っ越すケースが多いからと考えられます。同統計によると、海外進出している日系企業の総数は7万5千531拠点もあるということなので、世界中で、力を合わせて海外生活に奮闘している日本人家族の姿が思い浮かびます。

この海外在留邦人数は、総務省統計局の同じ時点の統計によると、都道府県別にみた人口数で全国29番目の長崎県の人口より約2千人少なく、30番目の奈良県より約4千人多くなります。つまり、在留邦人全体数を一つの県の人口に置き換えれば、長崎県と奈良県の間にランクすることになりますから、全国30番目の県民数に匹敵するほどの日本人が、海外で生活しているということになります。

そして、名前のローマ字表記は、国内の日本人よりも、むしろ、こうした海外在留邦人にとってより身近なアイデンティティですから、その書き方の順が変われば、より大きな影響を受けるのも海外在住の方々のはずです。ですから、邦人数の規模から考えても、これらの方々が受ける影響は、決して無視されてよいものではないと思います。

「ラストネーム ファースト」のわかりにくさ

今度の方針で、こうした海外在住の方々には、具体的にどんな影響が出ることが予想されるのでしょうか。自らの海外経験から言えば、それは、国のトップの名前の呼び方という大げさな国家間のことではなく、とても日常的なレベルで起こります。

たとえば、日本では、人の名字は覚えていて「〇〇さん」とは言えても、名前はうろ覚えということがけっこうあります。同僚や友人でもさほど接点がない場合には「あれ? あの人の下の名前、なんだったっけ?」と考えてしまうことは、誰にでもあるでしょう。それと同様のことは外国でも起こりうるのですが、世界の多くの国々ではファーストネームで呼び合うのが一般的ですから、逆の現象になります。顔見知りの人のファーストネーム(名)は覚えているけれども、ラストネーム(姓)は覚えていない、というよりは、知らないということがよくあるのです。日本人の感覚ではカジュアルすぎるように感じてしまうかもしれませんが、「名→姓」順の文化においては、人間関係の基本はファーストネームです。

ところが、日本の方針変更でローマ字氏名でも「姓」が最初にくるようになれば、とてもわかりにくいことになります。当たり前のことですが、ファーストネームは最初にくるからファーストネームなのです。ところが、「ラストネーム ファースト」という変更で最初にラストネーム(姓)がくるようになれば、姓がファーストネームということになります。

では、現地の人から“What is your first name?” と聞かれたら、どう答えればいいのでしょうか。今後は「姓」が日本人のファーストネームになるのでしょうか。それとも、従来どおり「名」をファーストネームとして答えればいいのでしょうか。 当の日本人でも混乱してしまうのに、相手が日本事情に詳しくない外国人だったら、正しく理解してくれるかどうか、心もとないところです。混乱を避けるためには、今後は、姓は family nameかsurname、名はgiven nameという言い方でやっていくことになるのでしょう。

さらに言えば、フランス語ではもっと面倒なことになります。「姓」はフランス語でnom。(英語のfamily nameと同義のnom de familleという言い方もあります。)「名」はprénomです。姓である nomに、「前」という意味の接頭辞préがついたもの、と言えばもうおわかりだと思いますが、フランス語では「名」は、文字通り「姓の前にある」という意味になります。これはドイツ語でも同様です。ですから、日本人のローマ字氏名をこれまで通り「名→姓」の順にしていれば問題ないのですが、日本式の順で「姓→名」とすると、「名は姓の前」というフランス語やドイツ語の本来の意味とはつじつまが合わなくなってしまうのです。こんなふうに考え出すとますます混乱してしまいますので、ヨーロッパ言語についてはひとまず、このくらいにしておきましょう。

海外で暮らす日本人135万人への影響

では、海外在留邦人の中で一番多い20歳未満の年齢層にはどんな影響があるでしょうか。外務省統計には、この年齢層の子どもたちが通う学校についてのデータもありますが、欧米式の教育環境を求めて、現地の学校やインターナショナルスクールに通う子どもが多くなっています。欧米式の環境であれば、レッスン15でも触れた通り、学校では「名→姓」の順で名前が記録に残りますので、日本の方針変更に沿って卒業証書の名前を「姓→名」順にしてくださいとリクエストしても、それが可能かどうかはケースバイケースといったところ。国際的なスタンダードを身につけた子どもたちが、奨励される日本式の名前を卒業証書に書いてほしいと思うかどうかも疑問です。

そして、自分の名前が逆になるというような、個人のアイデンティティと結びついた変化は、いじめの誘因にもなります。現地の学校に通っている場合は、他のマジョリティの生徒と違うことで、もともといじめのターゲットになりやすい存在ですし、名前が逆になるということ自体、日本文化に慣れていない外国の子どもにはとても理解しにくいものです。海外でなんのトラブルもなく日本の文化をわかってもらえるという安易な期待は、抱かないほうが賢明です。

次に、大人たちへの影響はどうでしょうか。変更によって考えられる実質的なトラブルの例を、いくつか挙げてみましょう。

海外で生活することになると、たいていの場合、その国の銀行に口座を開くことが、まず、必要になります。そして、欧米の銀行では、口座を持つと同時に個人が使えるチェック(小切手帳)を用意してくれることが普通です。クレジットカード払いが主流となった今でも、チェックがあればなにかと便利で、カードや現金の代わりにスーパーのレジでの支払いにも使えますし、家賃をチェックで送るのは、今でもポピュラーな方法です。

生活には欠かせない銀行関係の手続きですが、口座を開くにもチェックを使うにも、自分の名前をサインする必要があります。しかし、「名→姓」のサインで口座を開いたのに、方針に従って今度は逆に「姓→名」でサインをすれば、まったく別のサインとして扱われてしまいますので、自分の口座やチェックが使えなくなるだけでなく、最悪の場合はサインの偽造という犯罪に問われることにもなりかねません。

説明して相手にわかってもらえればいいのですが、マネーロンダリングや詐欺などを防ぐために、海外の銀行で外国人が口座を開く場合は厳重にチェックされますから、誤解を生まないための注意がさらに必要になってきます。

銀行関係以外でも、たとえば家の賃貸や保険などの契約書類に間違って記入してしまった場合、日本で訂正印を押すように、訂正部分にイニシャルのサインをしますが、イニシャルの順が逆になれば、これもまた、まったく別人のサインになってしまいます。

海外駐在員の方々なら、海外各地と日本の間を飛行機で飛ぶことも多いと思いますが、ファーストネームとラストネームを逆にしてエアチケットを手配されてしまい、飛行機への搭乗を拒否されるというようなトラブルが発生することも、十分考えられます。

また、従来の欧米式のローマ字氏名で国際的に名を知られている研究者の日本人が、名前のローマ字表記を日本式に変えるように言われたらどうなるでしょうか。名前が逆になるだけで、それまでの海外での論文などの素晴らしい業績が、コンピューター上では特に正しく認識されなくなるケースが出てくることは避けられないでしょう。

このようにローマ字表記変更の方針は、実際に国際人として活動されている日本人にとって、様々な不都合が生じる可能性があるやっかいなものです。さきほど挙げた通り、135万人強という、全国30番目の県民数に相当する海外在住の日本人がいて、その方々の多くは「名→姓」の名前の文化の中で暮らしているのが、現在の日本の状況です。ですから、この方針をすべての日本人を対象として奨励しようとする前に、まずこうした現状に目を向けてほしいと思います。日本の首相や政府要人は、その肩書きを使って海外に行けば、ここで挙げたようなトラブルとは無縁で問題はないのでしょうけれども、実際に海外の現場にいる一人一人の日本人にとっては、それほど単純な話ではありません。

ローマ字で書くのは何のため? という「そもそも論」

海外でも日本独自の文化を誇ることは大切ですが、日本人が国際的に活躍するためには、様々な状況で、世界の主流となっているスタンダードに合わせることもまた大切です。レッスン15で触れたように、国際機関で働いている日本人にとっては、統一された国際ルールに従うのはマスト(must)です。「日本人の名前はローマ字表記でも固有文化に則るのが当然」という純日本的な問題意識だけが強調されて、ローマ字氏名の用途を含め、日本人がローマ字氏名を実際に海外で使う想定に立ったケース・スタディや議論がされないのでは、在留邦人や海外生活経験者には、リアリティを欠いた精神論のように聞こえてしまいます。

そして、これは、在留邦人に限ったことではなく、海外旅行に出かける日本人の方々にも関係してくる問題になってきます。

最後に一つ、ご参考のために実例としてつけ加えると、国連機関勤務時代、私はアフリカ人男性の上司から、ラストネームで呼び捨てにされるという数年間を送ったことがありました。上司に悪気はなく、ただなぜか私のラストネームをファーストネームと勘違いして覚えてしまったようなのです。他の外国人の同僚からは名前で呼ばれていたので、どうしてそういうことになったのかは謎なのですが、私はその上司から自分のラストネームを呼び捨てにされるたびに、「なんだか体育会系みたいだなぁ」と思いつつ、異文化理解のむずかしさを体感することになりました。「それは私のラストネームですから」と言ってみたこともあったのですが、すでに習慣づいてしまったらしく、上司は職場を去る日までその呼び方を変えることはありませんでした。

日本人の名前を欧米式とは逆の順でローマ字表記するようになれば、こんな勘違いは簡単に起こるようになるでしょう。笑い話ですむようなことならよいのですが、海外におけるファーストネームの重要性をよく理解した上で、議論を進めて頂きたいと思います。

文・晏生莉衣(あんじょうまりい)
東京生まれ。コロンビア大学博士課程修了。教育学博士。二十年以上にわたり、海外で研究調査や国際協力活動に従事後、現在は日本人の国際コンピテンシー向上に関するアドバイザリーや平和構築・紛争解決の研究を行っている。

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