文/鈴木珠美
心の老いは自由を奪う【彩りカーライフ~自分の人生をかろやかに走ろう~】

女ともだちにサプライズドライブ

自動車運転免許を取得して、街中での運転に慣れてきた頃、暇さえあればドライブを楽しんでいた。私の場合、車を自由に走らせてドライブを楽しむというよりも、何かのミッションをクリアするために目的地へ行くほうがよりドライブを楽しめた。

例えば、おいしい海鮮丼を食べにいくために静岡県の沼津市に行くとか、
天然のマイナスイオンを浴びたいから栃木県、那須高原にある乙女の滝を見に行くとか。

○○に行って、●●をする。

たったひとつのやりたいコトを決めて車を走らせると気持ちが盛り上がる。ほんの少しの達成感と高揚。できれば私の考えたミッション付きドライブプランに喜んで行ってくれる、助手席の相棒もほしい。

以前、同じ沿線に学生時代からの友人が住んでいたときは、時折、ランチを食べに行った。当時、彼女は新婚だったこともあり、旦那様の帰宅時間に合わせて17時頃には家に到着していたいとのことだったので、ランチ場所は沿線上の範囲内にしていた。でもとある日、17時まで時間はあるんだから、少し早く出発すれば、日帰りドライブランチも可能じゃない?と思い立ち、彼女を助手席に乗せて、都内を抜け関越自動車道へ。彼女には最初「今日は車でお蕎麦を食べに行こう!」としか伝えてなかったので、最初はかなり動揺している様子だったけど、すぐに旅モードへ切り替わった。学生時代、ふたりで旅したときのテンション。関越自動車道から上信越自動車道を通り、碓井軽井沢インターで降りた。目的地は軽井沢にあるお蕎麦屋さん。東京を10時に出て、12時半過ぎにはお蕎麦屋さんに到着。鴨せいろとてんぷらをいただいたあとは、軽井沢を少し散策。途中カフェにも立ち寄った。そして15時前に軽井沢を出て17時には帰路についた。

軽井沢に行って、お蕎麦を食べる。ミッション達成。
ちょっとしたショートトリップだ。

真夜中のドライブの相方は、弟

またあるときは、深夜ドライブに出かけることもあった。急な思いつきドライブの相棒は、わがままを言いやすい弟。弟は迷惑だったと思うが我が家の場合、姉と弟の関係は子供のころから上下関係が出来ている。姉のわがままに弟は仕方が無く付き合うしかない。

深夜ドライブも「○○に行って、●●をする」を決めてから行く。
弟と実際に行ったのは、海ほたる。海ほたるに行って、24時間空いているコーヒーショップでコーヒーを飲むというミッション。姉と弟が何をしているんだかという話だけど、なんだかんだ弟は、車もドライブも嫌いではないので、当時、就職活動でもんもんとしていた気分はそれなりに晴れたようだった。

若い頃は本当によく思いつきドライブを楽しんだのだけど、近ごろとんとご無沙汰している。いまでも車を走らせることは好きなのだけど、明日は早いからや辞めておこうとか、車で仕事に出かけた日も、少し寄り道すればいいだけなのに、今日は疲れたから早く帰ろうと、消極的。また停めている駐車場の事情もある。私の車は現在、家から少し離れた場所の駐車場を借りていて、屋外なので車カバーをかけている。車のカバーを外して畳んでから車に乗り、帰ってきたら、車のカバーをかける。この作業がおっくうになってきている。

若い頃は面倒と思わなかったことが
面倒に感じているその理由とは?

明日のために早く帰ろうと思ってしまう保守的さ、
車カバーをかけることの面倒くささ。

どうして近ごろ、思いつきドライブに行かないのだろうと考えてみる。
面倒くさいとか、明日のことを考えて体力を温存しようなど、若い頃は思わなかったのになーと。そして思い当たったことは、思いつきドライブって心の体力も必要だったということ。
一言でいえば、心が老いたのだ。まずい……。認めたくないけど、たぶんそう。

悲しいことがあっても無理やり口角をあげて笑顔を作ると、脳がだまされて楽しい気持ちが起こるという話を聞いたことがある。それを応用して、とりあえず思いつきドライブを継続すれば、そのうち脳が若い頃を思い出して、心に若さを取り戻してくれるかもしれない。そんなわけで、とりあえず「○○に行って、●●をする」ドライブリストを作成中だ。

文・鈴木珠美
カーライフアドバイザー&ヨガ講師。出版社を経て車、健康な体と心を作るための企画編集執筆、ワークショップなどを行っている。女性のための車生活マガジン「beecar(ビーカー)https://www.beecar.jp/ 」運営。

 

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