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『ペロペロ』『あめや瓶』『ニッキ水瓶』|ブーム到来で数万円!?不揃いが愛しい「レトロガラス」の魅力【その1】

取材・文/前川亜紀

今、レトロなガラスアイテムが人気を集めている。主に戦前に流通した駄菓子のニッキ水の瓶、砂糖菓子の容器『ペロペロ』、ユニークな形の金平糖瓶、家庭で使われていた『あめや瓶』など様々なガラス容器が注目されています。

「ここ数年で再評価され、中には数万円というものも出てきました」と言うのは、駄菓子容器をはじめとする、レトログッズのコレクションで知られる入山喜良さん。

入山さんは、1973年(昭和48年)ごろからレトロなアンティーク小物の収集を開始。明治から昭和初期にかけてのガラス瓶、ブリキのおもちゃ、時計、ランプ、ガラス瓶、駄菓子屋物など一万点以上も所有しています。

神奈川県横浜市内にある入山さんのコレクションルーム。戦前に制作されたものが中心。かつて、庶民の生活にあり、いつの間にか消えてしまったものがここに集まっている。

神奈川県横浜市内にある入山さんのコレクションルーム。戦前に制作されたものが中心。かつて、庶民の生活にあり、いつの間にか消えてしまったものがここに集まっている。

入山さんは、1994年(平成6年)から、自身が運営する歯科クリニックの待合室に『懐かし博物館』という私設博物館を作り、公開していました。展示品は、ホーロー看板、柱時計、薬瓶、のらくろやベティちゃんなどのキャラクターグッズなど多岐にわたります。

「ここにあるものは、本来ならば、捨てられてしまっていたはずなのに、“なぜか残っている”ものばかりです。いずれもユーモラスで遊び心がありますね。現在は再評価されていますが、いい状態で現存しているのは稀少。それゆえに価値が高まっているものも少なくありません」(入山さん・以下「」内同)

キャラメルパッケージのコレクションを中心とした、駄菓子コレクションの一部。奥にかつての歯科治療室が見える。

キャラメルパッケージのコレクションを中心とした、駄菓子コレクションの一部。奥にかつての歯科治療室が見える。

太平洋戦争中に発売されていた『一太郎ヤーイ』という商品名のキャラメル。この一太郎は、日露戦争に出征した兵士の名前で、母と子の別れの物語がある。香川県多度津町の桃陵公園に、一太郎像が今もある。

太平洋戦争中に発売されていた『一太郎ヤーイ』という商品名のキャラメル。この一太郎は、日露戦争に出征した兵士の名前で、母と子の別れの物語がある。香川県多度津町の桃陵公園に、一太郎像が今もある。

「よく調べると、駄菓子や子供のおもちゃには、さまざまなモチーフが使われているのです。それが当時の流行や文化を知る手掛かりになったりして、とても興味深いのです」

入山さんが地方の骨董市で購入した、昭和30年代のキャラメル容器で作られた鍋敷き。「タバコのものは多くありますが、キャラメルは珍しい。かつてのお茶の間のちゃぶ台で使われていたんでしょうね」

入山さんが地方の骨董市で購入した、昭和30年代のキャラメル容器で作られた鍋敷き。「タバコのものは多くありますが、キャラメルは珍しい。かつてのお茶の間のちゃぶ台で使われていたんでしょうね」

玄関にあるのは、ホーロー看板。鉄版に陶剤を焼き付けているので、風雨に強い。右から左に向かって書いてあるのが戦前のもの。右上の金色のオブジェは、明治時代にお菓子屋さんで飾られていた金平糖の看板を復刻したもの。

玄関にあるのは、ホーロー看板。鉄版に陶剤を焼き付けているので、風雨に強い。右から左に向かって書いてあるのが戦前のもの。右上の金色のオブジェは、明治時代にお菓子屋さんで飾られていた金平糖の看板を復刻したもの。

全国各地の骨董市で集めたホーロー看板。昭和を代表するスター・美空ひばりさんを起用した『金鳥』の蚊取り線香の看板は、1967年(昭和35年)ごろから全国に貼られた。

全国各地の骨董市で集めたホーロー看板。昭和を代表するスター・美空ひばりさんを起用した『金鳥』の蚊取り線香の看板は、1967年(昭和35年)ごろから全国に貼られた。

●大ブームのニッキ水瓶をはじめとする和ガラスの世界

入山さんのコレクションの中でも、ひときわ輝きを放つのは、金平糖のガラス瓶、ニッキ水瓶、みかん水瓶など。いずれも、昭和20年代あたりまでに、駄菓子屋で売られていた子供向けのお菓子のガラス容器です。
いずれも金型にガラス質を溶かし固めた「型ガラス」という製法で作られています。ガラスの中には気泡が入り、ゆがんだり、ずれたりしているのもあり、それがまた味わいになっています。

「多くが戦前に作られたもので、いびつでユーモラスで、遊び心がある。見た目にも独特の愛らしさがあります」

『ペロペロ』と呼ばれる、駄菓子容器

これは『ペロペロ』と呼ばれる、駄菓子容器。中央に半固形の水あめが入っており、それをなめて食べたことからペロペロと呼ばれるようになった。中には1万円以上で取引されるものもある。

「このペロペロは、取っ手の形が左右違いますが、これで完成品なのです。おそらく、製造途中でガラスが足りなくなって、そのまま作って出荷してしまったのでしょう。そのおおらかさもまたいいですね」

入山さんのところには、多くのコレクターや有名博物館のスタッフも訪れる。取材時は都内から駄菓子瓶好きの中学生が見学に来ていた。

「駄菓子屋を知らない、10代~40代の人たちに駄菓子グッズや、和ガラス愛好家が増えています。骨董市などでは、世代を超え交流も生まれています」

二人が見ているのはニッキ水の瓶。このショーケースは、かつてタバコ屋さんで使われていたもの。入山さんが都内の骨董品店で購入。

二人が見ているのはニッキ水の瓶。このショーケースは、かつてタバコ屋さんで使われていたもの。入山さんが都内の骨董品店で購入。

その2では入山さんのコレクションを紹介。キューピー型の瓶ほか、マニア垂涎のアイテムを公開します。

撮影/フカヤマノリユキ 取材・文/前川亜紀

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