20歳の時に発覚した病気で大学を休学。家族の前では気丈に振る舞うしかなかった
彩香さんは都内の大学へ進学。その頃には姉との仲は徐々に修復され、反抗期も治まっていたそう。しかし、大学2年の時にこれからの人生を左右する病気が発覚します。
「最初に異変に気づいたのは痛みが続いたこと。最初は特に気にしていなかったけど、やっぱりずっと続くと心配になってきて。でも、今まで大きな病気をしたこともなかったし、軽い気持ちで検査に行きました。
でも、小さい病院から大きな病院への検査になり、結果は……。一瞬で未来が真っ暗になりましたね。今でこそこうして話せるようになりましたが、当時はしばらく泣くことさえできずに放心状態になりました」
そこから長期入院がスタートします。気持ちが沈むことが多かったそうですが、親の前では気丈に振る舞っていたと言います。
「告知された時、母親が泣いていたんです。それを見て、悪いことをしてしまったんだと思いました。なんて親不孝者なんだと。だから気丈に、私は大丈夫だからという態度をとってしまったというか、自分が傷つけた人たちを慰めようとしちゃったのかな。
先に入院して、投薬をしてから手術することになり、学校は休学。休学したことで学校のみんなにも病気のことを知られてしまいました。できれば隠したかったんですがね。でも病気のことってこちらから話さない限り、周りは気を使って聞いてこないじゃないですか。だから大学の友人は誰も詳細は知らないと思います。当時は高校時代とは違う彼氏もいたんですよ。彼にだけはすべてを話していました。病気になる前は彼とほぼ毎日一緒にいて、これからもずっと一緒にいるんだろうなって思っていたほど好きだったから。まだ20歳だったけど、彼と結婚したいとまで思っていました。彼は2日に1回のペースでお見舞いに来てくれて、私の両親や姉とも仲良くなりました」
病室で過ごす毎日、そして両親の前では気丈に振る舞い続けたストレスは彼氏に。退院後に彼との関係性に悩み続けた彩香さんを救ってくれたのは母親の言葉でした。
【~その2~に続きます。】
※本人の意向により、病名は伏せています。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。