取材・文/ふじのあやこ

娘のきもち21_2

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。~その1~はコチラ

今回お話を伺ったのは、都内で派遣スタッフとして働いている彩香さん(仮名・28歳)。埼玉県出身で、両親と3歳上に姉のいる4人家族。大学2年の時に病に襲われ、長期間の入院生活を強いられます。その生活の辛さを支えてくれたのは家族ではなく、彼氏だったそう。

「家族の前では気丈に振る舞っていました。私が明るくしとかないと雰囲気も悪くなってしまうから。変な気を使っていたんだと思います。家族にも無理なんだから、大学の友人にももちろん本当の気持ちなんて言えません。そんな気持ちを全部彼氏が救ってくれていました」

家族に見せられない気持ちの沈みは、すべて彼氏が受け止めてくれた

お見舞いに来ることで彼は家族とも仲良くなっていきます。彼が来る時間には母親は気を使って2人きりにしてくれたそう。そこで彩香さんの本音が爆発していたと言います。

「入院生活で家族と彼が顔を会わす機会があり、病院という場でしたが生まれて初めて親に彼氏を紹介しましたね。両親、姉ともに彼にはとても優しかったし、彼が帰った後はみんなが口を揃えたように彼のことを褒めていました。

そんな中で、母親が彼と私を2人きりにさせてあげようと気を遣うようになったんです。ありがたかったんですが、それが結果良くなかったのかも。彼と2人になると遠慮ができなくなってしまって。最初は自分から学校の話を聞いていたのに、ふとした瞬間に学校に行けていることが自慢に聞こえてきたり、気を使って何かを買ってきてくれても、頼んでいないと突っ返したこともあります。あまりに取り乱してしまって彼に手を出してしまったこともありました。でも、彼はそれでも優しかった。どんなに辛く当たっても、2日に1度のお見舞いのペースはそのままでした。最後には私がしんどくなってしまって、ペースを緩くしてもらったほどでしたから」

長期の入院生活を経て、彩香さんは退院、大学に復学します。退院してからも彼氏との付き合いは続きますが、病気をする前のような関係にはならなかったそうです。

「復学してからの学校は前よりも大切なものになりました。前はあまり気にしていなかった日常に感謝するようになったり。勉強も前より頑張るようになりましたね。それに、家族の仲も私の病気きっかけって言ったらおかしいかもしれないけど、絆は強くなったように思います。姉とも気づいたら和解していました(苦笑)。

でも、逆に彼に気を遣うようになったんです。表面上は彼とも前と同じような関係でした。あんなことがあっても離れていかなかった彼とはこれからもずっと一緒にいなければと使命感みたいなもので、気持ちがよくわからなくなってしまっていたのかもしれません」

【次ページに続きます】

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